2011年12月1日、日経ビジネスが報じた「ドコモ、来年夏にiPhone参入」。NTTドコモはこのニュースに関して、現時点で具体的な事実はないといった趣旨のコメントをしている(関連記事:iPhone参入報道を受け、ドコモが公式コメント)。

 この報道を識者はどう受けとめたのだろうか。現時点では仮の話にはなってしまうが、通信業界をウォッチしているUBS証券 株式本部 株式調査部 アナリストの梶本浩平氏は次のようにコメントした。

 KDDIからiPhoneの発売があった時点で、多くのユーザーが「いずれドコモでも扱うのではないか?」と想定していたと思う。例えば、当初はドコモだけが扱っていたソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのXperiaがKDDIでも扱われたように、異なる通信事業者間で、同スペック・同ブランド・同きょう体の端末が出てくるのは、スマートフォン化の流れでますます加速するだろう。そういった流れからすると、ドコモでのiPhone発売が実現しても全く不思議ではない。

 一方で、ドコモはLTEの普及に力を入れているのみならず、LTEによる、サービス・利便性の向上にも力を入れており、ネットワーク品質や信頼性の高さを武器にしたネットワーククラウド化を掲げている。これは、スマートフォン時代も単なる土管にとどまらず、ネットワークの新たな付加価値として、土管+クラウドによるユーザーの囲い込みを目指しているように見受けられる。

 この流れとiPhone導入は、アップル自身がiCloudによるユーザー囲い込みとマルチデバイス化を進めようとしているだけに、一見正反対に見える。だがドコモも、iPhoneを含め、ドコモネットワークにマルチデバイスが接続・アクセスできる仕組みを提供することが付加価値と考えているのかもしれない。