2011年11月21日に、広島県北部を震源とする最大震度5弱の強い地震が発生した。ひろしまケーブルテレビは、コミュニティch「HICATチャンネル」で、チャイム音と文字スーパーの形で緊急地震速報を伝えた。コミュニティchを視聴できる世帯では、ひろしまケーブルテレビへの加入の有無にかかわらず、誰もがHICATチャンネルから緊急地震速報を入手できた。

 ひろしまケーブルテレビは、2011年8月1日にコミュニティchで文字スーパーによる緊急地震速報の配信を行うシステムを、ケーブルテレビ局として初の取り組みとして導入していた。ネクストキャディックスの「緊急地震速報システム」やメディアキャストの文字スーパー送出装置「SparkMUX」を採用している。今回は、導入以来初めて登録基準点で震度3以上の揺れが予測されたため、地震速報が流されることになった。

 ひろしまケーブルテレビの本社のある場所は震源から近く、揺れを感じ始めた直後の表示になったが、地域によっては数秒程度揺れる前に表示できたと推定している。十数分後にはデータ放送機能により、HICATチャンネルの画面上に鉄道遅延情報もスクロール表示された。また、余震時には、発生直後の地震情報もスクロール表示されることが確認された。

 現在、ケーブルテレビでは専用端末による緊急地震速報の装置を採用し、有償提供する事例も増えている。ただし、広島県は比較的地震の少ない地域であり、専用端末の普及は難しいと想定されることから、データ放送の導入とあわせて、こうした緊急地震速報システムの導入に踏み切ったという。

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