エフエム東京とクワトロメディアは2011年11月29日、データ放送用記述言語BMLを用いたV-Lowマルチメディア放送のデータ放送「位置情報連動型データ放送サービス」(規格化検討中)の実証実験に成功したと発表した。自動車の走行場所に適した交通情報などのコンテンツ配信が可能になるという。

 V-Lowマルチメディア放送は、18MHz幅の周波数を分割して、県域放送(関東/近畿/中京は広域圏)という形で地域別の放送を展開することが想定されている。中でも車載型端末では、車両の位置情報を読み込み、判定(フィルタリング)を行い、その場所に最も適したデータ放送コンテンツを優先的に表示するという手法が検討されているという。

 両社は練馬IC(関越自動車道)と碓氷軽井沢IC(上信越自動車道)間の緯度経度情報を実測し判定基準として利用することで、走行する車両の車載型端末(試作機)に、走行場所に適した渋滞情報やサービスエリア/パーキングエリア情報、観光情報などを提示する実験を行った。

 実際の実験では、この区間を走行した後、室内実験において緯度経度情報をGPSエミュレータで再現した端末に対して、V-Lowマルチメディア放送波を信号発生器より発射し実施した。

 今回の実証実験で用いたデータ放送規格は、ARIB(電波産業会)によるワンセグの運用規定「TR-B14 Cプロファイル」をベースに、「車載型端末に適した画面レイアウトへの変更」「ワンセグではオプション機能のX_DPA_GetCurPos()関数を実装」という2点のみの規格追加で実現した。

 片方向ネットワークである放送メディアにおいても、通信ネットワークを使用せず、走行位置に応じたコンテンツを提供することが可能となる。FM東京とクワトロメディアは、今回の実証実験を基に規格提案を行い、V-Lowマルチメディア放送における最適なサービスの実現を目指すという。

 なお第42回東京モーターショー(東京ビックサイト、一般公開は12月3日から)で、この実験を公開展示する(関連記事)。

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