日本マイクロソフトの本社オフィスがある品川グランドセントラルタワー。19~31階を使用し、約2500名が勤務する
日本マイクロソフトの本社オフィスがある品川グランドセントラルタワー。19~31階を使用し、約2500名が勤務する
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オフィスにはLED照明を積極的に導入した。机上面照度を350ルクスに落として節電していたが、震災後はさらに25%削減して250ルクス前後とした
オフィスにはLED照明を積極的に導入した。机上面照度を350ルクスに落として節電していたが、震災後はさらに25%削減して250ルクス前後とした
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プリンター複合機は、IDカードで認証しないと印刷されないシステムを導入。無駄を省くことで、消費電力量は47.2%、紙は28.1%、コストは21.9%削減できたという
プリンター複合機は、IDカードで認証しないと印刷されないシステムを導入。無駄を省くことで、消費電力量は47.2%、紙は28.1%、コストは21.9%削減できたという
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移転前の5拠点における2010年3月の電力消費量を100.0%とした場合、移転後の品川本社の電力消費量は66.1%で約34%の削減。さらに震災後の節電により59.9%にまで下がり、約40%の削減を実現した
移転前の5拠点における2010年3月の電力消費量を100.0%とした場合、移転後の品川本社の電力消費量は66.1%で約34%の削減。さらに震災後の節電により59.9%にまで下がり、約40%の削減を実現した
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「電力消費可視化ソリューション」の画面例。フロアごと、部署ごとのランキングを表示するなど、電力消費量をきめ細かく表示・分析できる
「電力消費可視化ソリューション」の画面例。フロアごと、部署ごとのランキングを表示するなど、電力消費量をきめ細かく表示・分析できる
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同ソリューションの構成図。データの置き場所がSQL ServerかSQL Azureであれば、自由に改造・拡張して利用できる。ソースコードは12月5日に公開する
同ソリューションの構成図。データの置き場所がSQL ServerかSQL Azureであれば、自由に改造・拡張して利用できる。ソースコードは12月5日に公開する
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 日本マイクロソフトは2011年11月28日、東日本大震災の発生以降、同社が取り組んできた節電策について報道関係者に説明した。また、自社で開発・運用してきた「電力消費可視化ソリューション」のソースコードを、12月5日に無料で公開することを明らかにした。

 同社は震災前の2011年2月、都内5カ所にあったオフィスを統合するとともに、本社を東京・品川に移転した。約2500名の従業員のうち約60%に、固定的な座席を設けない“フリーアドレス”を導入。同社のユニファイドコミュニケーション(UC)製品である「Lync」を全面導入して、電話も全てパソコンで受けられるようにするなど、最新のテクノロジーを利用した新しいワークスタイルを実践している。

 また同社は2009年から、2012年までにエネルギー消費量を2007年度比で30%削減するという目標を掲げており、品川本社には、これを実現するためのさまざまな工夫が施されている。具体的には、(1)LED照明の活用と、センサーによる自動消灯、(2)空調の制御や外気の活用、(3)プリンター複合機にIDカード認証を導入し、無駄な印刷を削減、(4)検証用パソコンの仮想環境への移行――などが挙げられる。

 これらの取り組みが、震災後の節電策にも役立った。同社によれば、2010年3月における5拠点合計の電力消費量に比べると、移転後の品川本社の電力消費量は、震災前の段階で既に34%削減できていたという。そして震災後、さらなる節電を実施した後では、削減率40%を実現した。

 例えば、照明の机上面照度。移転時から一般的なビルの標準900~1000ルクスに対して350ルクスとしていたが、震災後はさらに25%削減して250ルクス前後に設定した。プリンター複合機は、IDカードで認証して初めて印刷できる仕組みにしたことから、紛失や失敗印刷が減り、消費電力量は47.2%、紙は28.1%、コストは21.9%削減できたという。

 さらに、より効果的な節電を実現するために、電力消費量を“見える化”する「電力消費可視化ソリューション」も開発・導入した。分電盤に電力を計測するモニターを設置し、LAN経由でデータを収集。データは同社の「SQL Server」や「SQL Azure」に蓄積して、フロアごとや部署ごと、月別、日別など自由に集計して電力消費量を確認できるようにした。

 この電力消費可視化ソリューションのソースコードを、同社は12月5日にWebで無料公開する。利用の条件は、データの置き場所がSQL ServerかSQL Azureであるということのみ。コードは自由に改造・拡張してよく、商用利用も構わない。同社は今後パートナーとも連携して、法人や自治体に提供していく考え。同ソリューションに関する技術情報の開示や、セミナーなども実施する計画だ。

 同社業務執行役員 最高技術責任者の加治佐俊一氏は、「震災後、電力が足りないということで、夏の節電をしてしのいできた。これからは冬の節電として、知恵を絞りながら工夫していかなければならない。原発の問題もあり、省電力には継続して取り組んでいかなければ」と語り、冬の訪れを前に改めて節電の必要性を訴えた。