ドイツDeutsche Telekom子会社、米T-Mobile USAの買収を目指す米AT&Tは現地時間2011年11月25日、米連邦通信委員会(FCC)に提出していた買収の認可申請をいったん取り下げたことについて、「もし取り下げがFCCに了承されなければ、訴訟も辞さない構えだ」と発表した。

 AT&Tの法務顧問兼上級副社長のWayne Watts氏が公式ブログで明らかにしたもので、同氏は「認可申請を取り下げる権利は我々にあり、FCCには我々の行動を止める権利はない。我々に対するいかなる提案も手続きの乱用になる」と非難している。

 AT&TとT-Mobile USAの合併計画をめぐっては、米司法省(DOJ)などが独占禁止法違反に当たるとして訴訟を提起している。AT&TとDeutsche Telekomはこの裁判での勝訴、あるいは司法省との和解の道を探っており、両社は「司法省からの承認を勝ち取るために注力する」ことを理由に、FCCへの申請をいったん取り下げた(関連記事:AT&TとT-Mobile USAの合併申請、いったん取り下げ)。

 これに先立つ22日に、FCCが買収計画を審査するための聴聞会を開く意向を示していたが、米メディア(Bloomberg)によると、FCCが聴聞会を開くということは買収計画を頓挫させる狙いがあることを示唆しており、両社はこれをいったん回避し、司法省との裁判が決着した後、FCCへの承認申請を再提出したい考え。

 ただし、FCCは今回の認可申請取り下げ要求を拒否できるほか、要求を受け入れる代わりに再申請を禁止することも可能。再申請ができなければ結局、この買収計画は失敗に終わるとBloombergは報じている。

[AT&T公式ブログへの投稿]