写真1●「育て上げ」ネットの工藤啓 理事長
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写真2●日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長
写真2●日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長
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 日本マイクロソフトとNPO法人「育て上げ」ネットは2011年11月25日、東日本大震災の被災地である岩手・宮城・福島の3県の被災者を対象とした就労支援プログラム「東北UP(Unlimited Potential)プロジェクト」を、2012年1月から実施すると発表した。被災者がICTスキルを取得する機会を提供することで、仕事情報へのアクセス、就労機会の拡大、地域経済の活性化を図る。

 厚生労働省の発表によると、震災から10月23日までに3県で交付された雇用保険離職票の件数は18万件(前年比1.7倍)に上り、復興支援の中でも大きな課題となっている。こうした状況を踏まえて、日本マイクロソフトと「育て上げ」ネットは、ICTスキルの習得を通して被災者の就労を支援する同プログラムを開始した。

 同プログラムでは、2012年1月から2013年3月末までの期間、3県のNPO団体と連携して被災者にICT講習を提供する。具体的には、NPOのスタッフが講師となり、Windows 7、Office 2010、Office 365を中心としたICTスキルの講習を実施する。そのために、講習のためのカリキュラムやテキストの開発、NPOスタッフ向けの講師養成研修などを行う。

 「育て上げ」ネットの工藤啓 理事長(写真1)は、「基本的なICTスキルだけでなく、要望があれば、ECサイト構築やアプリケーション開発の手法など、若者が3県内で起業するための高度なICTスキルを習得する機会も提供したい」と話す。

 日本マイクロソフトと「育て上げ」ネットはこれまで、政府事業「地域若者サポートステーション」を受託するNPO法人と連携し、ICT講習の提供を通じて若者の就労を支援するプロジェクト「若者UPプロジェクト」を推進してきた。若者UPプロジェクトでは、参加者の就職率(職業訓練校などへの進学を含む)が目標値を15.5ポイント上回る45.5%を達成した。今回の東北UPプロジェクトは、若者UPプロジェクトで培ったノウハウを活用していくという。

 日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長(写真2)は、「若者UPプロジェクトでは未就職の若者を当社にインターンで迎えたが、最初は自信をなくして落込んでいた若者が、仕事を通じて人と接していくうちに、生き生きと輝いていく様を目の当たりにした。東北の被災地に対しても、ICT講習を通じて人が手を差し伸べることが復興の一助になると確信している」と述べた。