中堅システムインテグレーターの永和システムマネジメントとクラスメソッドが協業に向け準備を進めている。永和システムはアジャイル開発やRubyによる開発、クラスメソッドはRIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)技術やクラウドを利用した開発、スマートフォン向け開発に強みを持つ。両社の強みを合わせれば、「大手SIerよりも素早く、価値をもたらすシステムを開発できる」と、永和システムの市谷聡啓サービスプロバイディング事業部アジャイルグループ主任は自信を見せる。

 永和システムの持つ強みの一つとして、独自の契約形態がある。システム開発を継続して進めることを前提とするアジャイル開発では、契約が導入のネックになるケースが多い。同社はこの問題の解決を狙い、「価値創造契約」と呼ぶ契約形態を打ち出している。

 価値創造契約では、システムを継続的に改善・発展させていくことを前提に、主要部分をひと通り開発するまでは原則として無償とする。その後、システムの規模などに応じて、月額料金を受け取る形を採る。「すでに適用実績もある」(市谷主任)という。

 このように開発プロセスに関するノウハウを永和システムは多く備える一方で、「スマートフォンのようなマルチデバイス向け開発の実績はほとんどない。クラスメソッドは、この分野にたけている」(市谷主任)。そこで、「1社では大手SIerに太刀打ちできないが、2社が力を合わせれば、価値のあるシステムをうまく作る点で大手に比肩した活動を展開できる」と市谷主任は話す。

 協業に向けた取り組みの第一弾として、12月7日に主に情報システム部門の担当者を対象に共同でセミナー「スキニー(ぴったり)なシステム開発のススメ」を開催する。価値創造契約やクラウドとアジャイルの関係をはじめ、両社が力を合わせることでユーザー企業にどのような価値をもたらすかを説明する予定だ。

■追記
永和システムマネジメントから、クラスメソッドとの協業に関して「両社で協業協定を結ぶわけではなく、案件ベースで協力していくという意味」であるという追加説明がありました。[2011/12/1 15:00]