写真1●CA Technologiesのデイビット・ドブソン上級副社長
写真1●CA Technologiesのデイビット・ドブソン上級副社長
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写真2●「IT中心型」から「ビジネスサービス中心型」への移行
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写真3●CA Technologies製品のポートフォリオを示すチャート
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 「インフラの管理から、ビジネスサービスの管理への移行。これがITの新常識だ」。11月14日~16日に開催されたプライベートイベント「CA World 2011」で、同社のデイビット・ドブソン上級副社長は現在のIT業界のトレンドについてこう語った(写真1)。

 ドブソン氏によれば、従来の「IT中心型」がメインフレームや仮想化、セキュリティの管理に注力していたのに対して、新しい「ビジネスサービス中心型」は事業の成長や革新を支えるものだという(写真2)。ドブソン氏の講演では、中堅規模の企業ではこの移行が迅速に進んでいることが紹介された。「この規模の企業では、ITのスキルを持ち合わせている人が少ないためだ」(同氏)。

 加えて、会期中に示した同社製品のポートフォリオは「このトレンドに応じたもの」(同氏)であり、ここ数年の企業買収はこのポートフォリオを完成させるためのものだとした。今回のイベントで繰り返し使われたのが、「モデル(model)」「アセンブル(assemble)」「自動化(automate)」「保証(assure)」「セキュア(secure)」を配したチャート(写真3)。このうち、顧客のビジネスサービス管理への移行において特に重視するのが、モデルとアセンブルだという。今回のイベントで新たに定義された機能だとした。

 ドブソン氏は、このポートフォリオにより「様々な企業の製品やサービスの組み合わせによって複雑化するという、現在の企業システムが直面している問題を解決できる」とした。

 モデリングは、システムの導入を実際に決定する前にポリシー、セキュリティ、キャパシティーなどの要求条件やコストのモデリングとシミュレーションを行うためのもの。これにより、導入前に複数のサービスを組み合わせた設計と配備を最適化できる。モデリングを実現するのが、同社が今年買収した米ITKOが開発した「LISA」や「Clarity PPM」である。

 アセンブルは、メインフレーム、サードパーティー製サービスとクラウドサービスを組み合わせて実装するまでのプロセスを効率化する機能。アセンブル機能を担うのが「AppLogic」である。

 自動化は、顧客の要求に応じて短期間で開発されたソリューションを自動化し、物理環境、仮想環境、クラウド環境にまたがったサービスを編成する。

 保証は、モニタリング機能を提供するものであり、この機能によりパフォーマンスと信頼性が保証される。

 セキュアについては、資産と情報を保護するためのもの。コンテンツ認識型のアイデンティティー/アクセス管理メカニズムを用いることでアクセス制御を行う。

 自動化と保証、セキュアは「管理機能」に分類され、AppLogicやCloud 360、Business Service Insight、Clarity PPMがこの機能を提供する。

 イベントでは「CAのソリューションによって、ビジネスサービスに移行した例」として、通信事業大手の米スプリント・ネクステルと、家電量販店である米ベストバイの導入事例が紹介された。

 スプリント・ネクステルの例では、3400あったアプリケーションのうち2000種を削減、1400種を仮想化することにより、30%程度だったサーバーの利用率を倍増させたという。年間のコスト削減額は2000万ドルに達するとした。

 ベストバイの例では、仮想化サーバー上に試験環境を構築、その後、実運用環境に複製することにより、試験から実装時間までの時間を大幅に短縮できたという。「当初1年を予定していたが、実際には6カ月で実現した。ベストバイのITチームは、“ITKOのソリューションがクリスマス商戦を救ってくれた”と言っている」(ドブソン氏)とソリューション導入による効果を強調した。