欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間2011年11月23日、米国のハードディスク装置(HDD)大手、 Western Digital(WD)による日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)の買収を条件付きで認めると発表した。

 3.5インチHDDの生産に関わる重要資産を第三者に売却することが条件で、WDは売却先を見つけるまでHGSTの買収を完了できない。Joaquin Almunia競争政策担当副委員長は「これにより業界における競争が完全に回復される」と述べている。

 具体的な条件は、製造施設の売却、知的財産権の売却先への譲渡、従業員の移管、HDD部品の供給など。これらが実施されれば、欧州経済領域で市場競争を著しく阻害する恐れはないとしている。

 WDと日立製作所は2011年3月、日立の100%子会社かつHGSTの持株会社であるシンガポールのViviti Technologiesを、現金と株式を合わせ約43億ドル相当でWDが買収することで合意したと発表した。これを受けてECの競争法当局が同年5月に本格的な調査を開始した。

 また今回の承認に先立つ2011年10月、ECは米Seagate Technologyによる韓国Samsung ElectronicsのHDD事業買収を承認した。Seagate/Samsungの買収が先に承認されているため、WD/HGSTが合併することで、WD、Seagate、東芝の3社へと大手HDDメーカーが減ることをECは懸念していた(関連記事:欧州委、SeagateによるSamsungのHDD事業買収を承認)。

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