写真1●緊急記者会見で話すグリー田中良和社長(左)、同コーポレート本部長の天野雄介執行役員(中央)、同コーポレート本部法務知的財産部の長谷川泰彦部長(右)
写真1●緊急記者会見で話すグリー田中良和社長(左)、同コーポレート本部長の天野雄介執行役員(中央)、同コーポレート本部法務知的財産部の長谷川泰彦部長(右)
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 グリーとKDDIは2011年11月21日、ディー・エヌ・エー(DeNA)に対する損害賠償訴訟を東京地方裁判所に起こしたと発表した(写真1)。損害賠償額は10億5000万円以上(うちKDDIが1億5000万円、グリーが9億円)としており、損害額は今後の査定によって増額される可能性がある。

 訴訟の発端は、2011年8月に確定した公正取引委員会によるDeNAに対する排除措置命令。グリーのSNSサービス「GREE」を通してゲームを提供しているゲーム開発会社に対して、DeNAが運営する「Mobage(旧モバゲータウン)」上のゲームのWebサイト上のリンクを掲載しない、という要請をしたことに対して、公正取引委員会が同命令を行った。DeNAは取締役会を通して、以後の同種行為を行わず、今後のコンプライアンスを強化するという発表を行った。

 しかし、「排除措置命令が確定した後も、同様の妨害行為が継続的に行われているという報告があった」(グリーの田中良和代表取締役社長)という。詳細は記者会見では明らかにしなかったが、「ゲーム開発会社だけではなく、サーバー提供会社や広告代理店など関係各社からも圧力を受けたという話もある。具体的な事例については、裁判を通して明らかにしていきたい」(同コーポレート本部法務知財財産部の長谷川泰彦部長)としている。

 グリーの田中社長は、「多くのゲーム開発会社は、DeNAによる報復を恐れて表に出て話をしようとしない。このままではこれでいいんだということなる。グローバルスタンダードから見てもおかしい商取引はおかしいと是正しなければならない」と、DeNAとの対決姿勢は崩さない。グリーは2010年8月10日以降、GREEを通じて配信されるはずだったゲーム開発会社のゲームの売り上げが9億円、KDDIはその配信時にかかるキャリア手数料が1億5000万円ほど利益を損失していると見積もっている。