電子機器・部品の市場調査会社、米IHS iSuppliは現地時間2011年11月18日、米Amazon.comが米国で出荷を開始したタブレット端末「Kindle Fire」について、推定製造原価が201.70ドルになるとする調査結果を公表した。Kindle FireのBOM(Bill of Material:部品表)に基づく部品原価は185.60ドル。これに製造コストが16.1ドルかかっていると分析している。

 IHS iSuppliはこれに先立つ9月末にKindle Fireを“仮想分解”した結果を公表していたが、今回は入手した実機を分解して調査した。その結果、先の推定製造原価209.63ドルを若干下回った。ただし、これにはソフトウエアやライセンス料、ロイヤルティーといったそのほかの経費は入っておらず、それらを含めるとコストはさらに膨らみ、199ドルのKindle Fireはいずれにしても原価割れになると指摘している(関連記事:「Kindle Fire」は1台売れるごとに10ドル以上の損失、米調査会社)。

 Kindle Fireの部品原価の内訳を見ると、ディスプレイおよびタッチスクリーンが計87ドルと最も高く、部品原価全体の46.9%を占めている。次いでメモリーおよびアプリケーションプロセッサ、無線LANなどの主要LSI部品の合計が64.45ドル、バッテリーが16.50ドルなどとなっている。

 IHS iSuppliが分解したKindle Fireでは、ディスプレイは米E Inkの技術を採用した韓国LG Display製だった。またアプリケーションプロセッサは米Texas Instruments(TI)の「OMAP4430」で価格は14.65ドルと部品価格全体の7.9%。このほか8GバイトのNAND型フラッシュメモリーは韓国Samsung Electronics製。DRAMについてはIHS iSuppliは当初8Gビットと推定していたが、4Gビット品だった。こちらはエルピーダメモリ製だった。

 無線LANモジュールは、台湾Jorjin Technologies製で、TIや米Broadcomの製品を使うのに比べ1ドルの原価削減に寄与しているとIHS iSuppliは分析している。最近はかつて知られていなかった部品メーカーの製品を採用する傾向があり、タブレット端末の普及を背景にJorjinのような新たな部品メーカーが台頭しているとIHS iSuppliは指摘している。

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