図1●大量のデータ(ビッグデータ)を集めて高度なデータ分析・判断を自動実行することにより、異変をいち早く察知したり、近未来を予測したり、今をリアルタイムで描き出したりすることが可能になる(講演のスライドから)
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図1●大量のデータ(ビッグデータ)を集めて高度なデータ分析・判断を自動実行することにより、異変をいち早く察知したり、近未来を予測したり、今をリアルタイムで描き出したりすることが可能になる(講演のスライドから)
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 「犯罪が発生する前に警察官が犯罪現場に現れる、コンピュータ将棋が女流名人に打ち勝つ、自動車が周囲の状況を自律的に判断して自動走行する――。こうした、従来はほとんど不可能だった事象が現実になった背景には、ビッグデータがある」。

 日経コンピュータの中田敦記者は2011年11月15日に開催されたオンラインイベント「ITpro EXPOバーチャル2011 Live Day」にて講演、“ビッグデータ革命”が今まさに起こっていることを強調した。

 ここでいうビッグデータ革命とは、「大量のデータを集めて高度なデータ分析と判断を自動で行い、異変をいち早く察知したり、近未来を予測したり、今をリアルタイムで描き出したりすること」(中田記者)であり、IT技術の進歩によって従来は不可能だった利活用ができるという(図1)。

 中田記者は、大量のデータを深く分析して活用することの重要性に真っ先に気付いたのが米Googleだと指摘する。Googleは冒頭で紹介した自動走行車の開発といった自動車産業への関与に加えて、電力産業や家電産業にも進出しようとしており、その原動力が検索事業で磨いたビッグデータの分析・活用力にあるという。

 こうしたビッグデータの“威力”に気付いた大手ベンダーが、コモディティ化するITを使って、言い換えれば格段に調達しやすくなったIT製品・技術を用いて、ビッグデータの利活用を競い始めている。これにより、「いろんな産業で革新が起きようとしており、これを日経コンピュータではビッグデータ革命と呼んでいる」(中田記者)と説明する。

 続けて中田記者は、ビッグデータの正体について解説。ビッグデータの定義に始まり、クラウドとの関連性に言及した。「大量に」「深く」「素早く」データを扱えるクラウド環境を提供するベンダーが増えていることにより、ビッグデータ革命が加速しているという。さらに、ビッグデータを活用するうえで、従来のAIやBIと大きく違うのは、処理の自動化にあると分析し、ビッグデータ時代のアプリケーションの仕組みについて解説した。

 ビッグデータ活用の具体例として、さまざまなログから社員の不正を暴きだすアプリケーション、会員の行動履歴を分析して退会しそうな予兆行動を把握し退会を防止するシステム、分散バッチ処理Hadoopを使った会計システムなどを挙げた。加えて、米Oracleや米IBMなどHadoopに注力するベンダーの動きを紹介した。

 講演の最後に中田記者は、ビッグデータ活用の課題として、データを分析する統計学や数学の専門家であるデータサイエンティストの不足などを指摘。また、ビッグデータ活用のマイナス面として、ユーザーのプライバシ侵害の恐れや、アルゴリズム取引などのデータマイニングの危険性についても警鐘を鳴らした。

 講演に続いては、視聴者からの質問に中田記者が応える質疑応答セッションが開催された。「ビッグデータ活用は大手企業だけのものなのか」「医療分野での活用事例を教えてほしい」「事業者は、集積したビッグデータを自由に使ってよいものなのか」「BIツールは今度どうなるのか」といった質問に一つひとつ回答した。

 このオンライン講演および質疑応答セッションについては、11月25日まで開催中のITpro EXPOバーチャル2011にて視聴できる。

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