米デルのマイケル・デルCEO(最高経営責任者)
米デルのマイケル・デルCEO(最高経営責任者)
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 米デルは2011年11月15日、2011年8-10月期の決算発表を受けて、証券アナリスト向け電話会議を開いた。同期の売上高は153億6500万ドル(前年同期比0.2%減)、純利益は8億9300万ドル(同9%増)だった。

 証券アナリストからは、タイの洪水を受けてハードディスクドライブ(HDD)の調達について質問が集中した。

 調達を担当するジェフ・クラーク副会長は「悲劇的なタイの洪水に心配している。先月は大量に調達して、出荷できる体制を敷いた」と大きな混乱がないことを明かし、その上で「まだ洪水が終わっていないので影響や対策が見極められないものの、今は部品業者と協力して、新たな供給源やお客への影響について対策を練っている。過去にも供給不足について対策を練った経験があるが、そのたびに新しい方法が生まれてきた。今回も効果的な運営手法を見つけたい。また調達に関しては長期で契約を交わしており、大きな変更はない」と語った。

 またブライアン・グラデンCFO(最高財務責任者)は「先行きの業績予測は熟慮の上に出している」と、変更がないことを強調した。

 デルはタイの洪水発生後、「24時以内にHDDの在庫をデルの倉庫などから一斉に取り寄せた」(クラーク副会長)とし、さらに「48時間以内にリスクマネジメントチームを設けて、顧客の要望や調達可能な部品の確認などすべての事業において点検した」(同)という。

 クラーク副会長は「世界ではデフレ現象が続いており、値下がりしている部品もある。それらをうまく組み合わせて値上がりを吸収したい」と話した。

 今後のIT(情報技術)投資への影響について、マイケル・デルCEO(最高経営責任者)は「事業の生産性を高める手段として、来年に向けても成長は続くだろう。当社のサーバーやネットワーク事業を見ても増収を続けていて、また事業機会は多い」と楽観的に見ていることを明らかにした。

 タイの洪水を受けて、部品調達の経路とコストは産業界の大きな課題となっている。各社の取り組みと復旧方法は互いに学ぶ点がありそうだ。