森ゆうこ文部科学副大臣
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松崎公昭総務副大臣
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 総務省と文部科学省は2011年11月14日、「ICTを活用した先導的な教育の実証研究に関する協議会」の第1回会合を開催し、教育の情報化について両省がそれぞれ推進する事業を連携・調整していくことを確認した。

 具体的には、総務省の「フューチャースクール推進事業」と文部科学省の「学びのイノベーション事業」を指す。それぞれの事業は、教育分野でのICT(情報通信技術)活用を促進し、児童・生徒が互いに教え合い、学び合っていくのを支援する目的を持つ。

 総務省はフューチャースクール事業の一環で、2010年度よりタブレットPCなどICT機器を小学校に導入しており、技術的な課題の分析に既に着手している。両省の役割としては、総務省が引き続き技術面やハード面から、文部科学省が教育用コンテンツ開発などソフト面から、ICTを使った学校教育の実現に取り組む。具体的には、小中学校および特別支援学校で、電子黒板や1人1台のタブレットPC、校内LANなどのICT環境を整備して実証研究を進めていく。実証校は2010年度から継続する小学校10校に加え、2011年8月に新たに決定した中学校8校と特別支援学校2校である。

 会合の冒頭、森ゆうこ文部科学副大臣は、「実証校の1つに視察へ行ったときに見た、子どもたちが1人1台の端末を持って学ぶ様子が印象的だった。情報通信技術を活用したこうした“新しい学び”を全国に広げていきたい。教育の情報化における両省の事業の役割は非常に大きく、一体となって着実に推進していくのが大切だ」とし、教育の情報化を推進することへの決意を表明した。

 続いて松崎公昭総務副大臣が「(フューチャースクール事業と学びのイノベーション事業は)省庁間の縦割りを排し、政府一丸となって政策に取り組んでいくモデルとして大変意義深いもの」とし、両省が連携することの重要性について述べた。

 会合は、各事業のこれまでの取り組みなどを関係者が報告した後、参加する専門家が意見を述べたり、疑問を提起したりした。会合に参加した専門家は、総務省の「フューチャースクール推進研究会」構成員と、文部科学省の「学びのイノベーション推進協議会」委員。会合の中で出された意見・疑問には、ICT活用時の情報セキュリティ対策をどうするか、生徒たちの学習履歴を経年と共にどう活用していくのかなど、技術や運用の点を指摘したものがあった。また、小学校の校長を務める委員からは、「情報化への理解が低い自治体もあり、活用が進んでいない実態がある」という指摘もあった。