写真●ウォーレン・バフェット氏
写真●ウォーレン・バフェット氏
[画像のクリックで拡大表示]

 米国を代表する投資家で、著名経営者の相談役としても知られるウォーレン・バフェット氏(写真)は、米IBMの株式に107億ドル(約8300億円)を投じたことを明らかにした。バフェット氏の持ち分は約5.5%となり、IBMの大株主に浮上する。

 バフェット氏は自身が経営する米バークシャー・ハザウェイを通して、米アメリカン・エキスプレスやワシントン・ポスト、P&G、ウォルト・ディズニーなど数々の著名企業に投資し、一代で約4兆円の資産を築いた株式投資家。個人資産をビル・ゲイツ氏が運営する財団にすべて寄付すると表明したことでも知られる。

 ただバフェット氏はこれまで「ハイテク株はわからない」と語り、一切のIT株への投資を控えていた。今回のIBM株の大量購入は数十年に渡る投資方針を転換したことを象徴しており、今後のIBMの経営や世界の株式相場に影響を与えそうだ。

 IBM株の購入の理由について、バフェット氏は14日、米CNBCのインタビューで「ルー・ガースナー元IBM会長の著書を読み直したり、IBMの年次報告書を読んだりした」と語り、最近の研究がきっかけとなったことを明かした。その上でIBMの成長性や事業戦略に注目し、「IBMはIT企業の事業を手助けする会社」と定義づけて、そのサービスやソフトウエア事業を評価した。

 購入は自身の研究の結果であるとして、「サミュエル・パルミザーノ現会長にも、新しくCEO(最高経営責任者)になるジニー・ロメッティ氏とも話していない」と明かした。

 バフェット氏は、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏ら経営者の相談相手としても知られる。ただマイクロソフト株の購入については「考えたことはあるが、購入には至らなかった」としている。

 そのバフェット氏は11月21日に初の来日を予定している。同氏が投資する企業グループに属する超硬工具大手、タンガロイが福島県に新工場を稼働し、その開設式典に参加するためだ。本来は2011年3月に式典を予定していたが、大震災のため延期となっていた。バフェット氏は「ソニーの創業者である盛田昭夫氏と友人関係にあるので、ソニー株を買いたかったが、割高で買えなかった」とかつて語ったことがある。来日をきっかけに再び日本株への関心を高めるかどうかも注目が集まる。

■変更履歴
当初、最終段落で「タンガロイが宮城県に新工場を」としていましたが、正しくは宮城県ではなく福島県です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2011/11/16 15:10]