写真1●Informatica MDMの画面。データ同士の階層構造を管理/可視化している
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写真2●米InformaticaでSenior Director of MDM Product Marketingを担当するRavi Shankar氏
写真2●米InformaticaでSenior Director of MDM Product Marketingを担当するRavi Shankar氏
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写真3●インフォマティカ・ジャパン代表取締役社長の吉田浩生氏
写真3●インフォマティカ・ジャパン代表取締役社長の吉田浩生氏
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 インフォマティカ・ジャパンは2011年11月15日、複数の業務システムに分散したデータを統合して有効に活用するMDM(マスターデータ管理)ソフトの新製品「Informatica MDM」(写真1)を発表した。2011年内に出荷する。同社の既存のMDM製品とは異なり、顧客と商品、家族構成など、データとデータの関連性を管理できる。開発会社は、米Informatica。

 Informatica MDMは、MDMソフトである。商品管理システムやCRM(顧客関係管理)などの各種の業務システム上で管理している顧客データや商品データなどのデータを収集して統合し、信頼性の高い単一のマスターデータを作成する。こうして作成したマスターデータを使うことで、業務の効率が高まるほか、業務プロセスが改善する。

 マスターデータの作成機能に加え、データ品質の向上(顧客など重複データの名寄せ、住所表記などのクレンジング)や、簡易的なETL(データベースからのデータ抽出/変換/登録)の機能を兼ね備える。前処理として別ソフトを使って名寄せ/クレンジングを終わらせておいてもよいし、Informatica MDMにデータを取り込んだ際に名寄せ/クレンジングしてもよい。

 最大の特徴は、顧客データや商品データなど互いにドメインが異なる複数のデータ同士の関連性を管理できること。米InformaticaのRavi Shankar氏(写真2)は、企業が抱える課題(適切な相手に適切な提案ができないこと)の原因として、単一の顧客ビュー、顧客の関連性を示すビュー、顧客とのやり取りに関するビューがない点を指摘する。Informatica MDMでは、これらのビューを提供する。顧客の属性を表す情報として、ソーシャルネットワークなどから情報を取り込むこともできる。

 例えば、ある顧客同士が家族関係にあり、誰が誰にどんな商品を買ってあげたのか、どういった販売経路で誰が誰にいつ売ったのか、といったデータまでInformatica MDMのビューで参照できるようになる。例えば、家族が所有している製品の新バージョンの情報を、その家族の誕生日に合わせて世帯主に送る、といった施策に役立てられる。

 なお、Informatica MDMは、米Informaticaが買収した米Siperianの製品。同社の既存製品にはなかった、複数データの関連性の管理/可視化ができる。インフォマティカ・ジャパンの吉田浩生氏(写真3)によると、現状における国内顧客の状況は、「PowerCenter」などのETLツールが全体の9割を占める。用途としては、ETLと、情報システムで用いるデータの名寄せ/クレンジングにとどまり、単一のマスターデータを活用するまでには至っていない。「MDMのベストプラクティスを提示する」(吉田氏)ことで、これらの顧客に売っていくとしている。