図 何が行われたのか(総務省の発表資料より引用)
図 何が行われたのか(総務省の発表資料より引用)
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 総務省は2011年11月11日、グーグルに文書による指導を行い、再発防止策・状況などについて報告を求めた。同社が日本国内において無線LANを経由した通信を受信し、その一部を記録した行為が電気通信事業法第4条に規定する「通信の秘密」の侵害につながる恐れがあったとしている。

発端は米国の2010年発表

 経緯は次の通り。2010年5月14日、米グーグル社がストリートビューカーによって道路周辺映像を撮影する際に、無線LANを経由した通信の一部を誤って収集していた旨を発表した(関連記事)。これを受け、総務省はグーグルに対して、法第4条(秘密の保護)の規定に照らし、事実関係の報告を求めた。

 グーグルからの報告により「2007年12月から日本国内において、ストリートビューカーによる道路周辺映像の撮影と同時に無線LANを経由した通信を受信し、その一部を記録していた事実が判明した」という。具体的には、電気通信事業者の無線LANアクセスポイントの情報を収集する際に、当該アクセスポイントを経由した個々の通信も受信し、その一部を記録していた。

 なお、グーグルから「誤って通信本文を受信、記録したものであり、閲覧・使用は行っていないこと、判明後は米国グーグル社において厳重な管理下に置き、アクセス制限をかけて保管していること、また判明後直ちに、ストリートビューカーによる無線LANを経由した通信の収集は停止したこと」が併せて報告されているという。

サーバー上に保管された記録の削除など要請

 総務省は、「電気通信事業者が提供する無線LANを経由した通信を受信し、その一部を記録した行為は、法第4条に規定する『通信の秘密』の侵害につながるおそれがあったものと認められる」と判断した。

 このため総務省はグーグルに対して、再発を防止し、法を遵守するように指導するとともに、「現在サービスに供されているサーバー上に保管されている電気通信事業者が提供する無線LANを経由した通信に係る記録の削除」、「通信確立後の通信に係る情報の収集・記録など事案の再発防止及び今後の法令遵守の方策の策定」を速やかに実施し報告することを要請した。また、その報告後に、速やかに「経緯、対応状況、再発防止策などの日本語による周知」を実施するよう求めた。

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