市場規模の算出根拠。復旧率は、協会に参加している企業の実績値を基にした
市場規模の算出根拠。復旧率は、協会に参加している企業の実績値を基にした
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 データ復旧の業界団体である日本データ復旧協会は2011年11月10日、国内で発生する「HDDのデータ復旧依頼台数」や「復旧できた台数」といった市場規模の調査データを公表した。それによると、2010年1~12月における国内のHDD復旧依頼台数は約6万8000台あり、そのうち実際に復旧できた台数は5万4400台に上る。2010年の同時期に公表した前年の調査結果では、復旧依頼台数は約6万台で、実際に復旧できた台数は4万8000台だった。

 市場規模の算出根拠は右図の通り。調査会社のIDCが公表しているメーカー製パソコンの年間販売台数を基に、故障率やユーザーの操作ミスなどからデータ復旧対象となる内蔵HDDを61万台と推定。データ復旧サービス自体の認知度や復旧せずにあきらめてしまう人などを勘案し、復旧対象の10%に相当する6万1000台を復旧依頼台数と見積もった。

 今回から調査対象に外付けHDDを加え統計データの精度を高めている。復旧対象となる外付けHDDを14万台と推定。復旧作業の依頼率は内蔵HDDの半分と予測し、復旧依頼台数を約7000台と見積もった。先の6万1000台を加えた6万8000台に、復旧率(80%)を掛けあわせた5万4400台を復旧台数とした。

 電子カルテや電子証券など紙の情報の電子化が進んでいる中、電子データの復旧事業は必要性が増している。その一方で、これまで客観的な市場規模の調査データはなかった。 今回、同協会が調査データの公開に踏み切ったのは、一部企業が自社のWebサイトなどで広告代わりに信憑性の低い実績データを掲載する行為が頻発していたからだという。今後は、復旧のニーズが高まりつつあるスマートフォンやタブレット端末の調査データを公表できるように体勢を整えていくという。

 日本データ復旧協会は2010年2月1日に発足。ワイ・イー・データなど6社が加盟している。

■変更履歴
記事公開当初、日本データ復旧協会の加盟社数は「5社」とありましたが、「6社」の誤りです。本文は修正済みです。[2011/11/11 13:40]