写真●講演するソニーの長谷島SVP
写真●講演するソニーの長谷島SVP
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 ソニーの長谷島眞時・業務執行役員SVP(写真)は10日、東京都内で講演し、情報システム戦略について語った。ソニーは2日にテレビ事業の不振による2012年3月期の純損失見通しを明らかにしたばかり。同時にテレビ事業の収益改善案を発表した。

 この9月まで最高情報責任者(CIO)を勤めた長谷島氏は、経営状況を受けて「テレビ事業は厳しい。ソニーだけではなく作っても利益が出ない状況」とした上で、変化に柔軟に対応する業務基盤やシステム構築の重要性を語った。

 長谷島氏は「モノ作りだけでなくシステムや経理などあらゆる機能を外部委託するのが当たり前になっている。むしろ社内の従業員は外部委託した事業をマネージするのが大切になる」と本社機能の役割の変化を指摘。コスト削減や投資抑制を進めるために、今後も外部委託を増やす方針を明らかにした。

 情報システムについても社内の資源の投入は保守やセキュリティなど重要分野に絞り、標準的なシステム構築や開発はアウトソーシングを増やすという。社内の管理体制を強化し、「あらゆる状況変化を先取りできる機能を高めたい」という。

 ソニーでは2004年から全社的な情報システム改革を進めている。事業や地域別だったシステム構築体制をCIOの統轄下に一元化した。これにより情報システムの開発・運用におけるコストと納期の順守率は、2005年の40%から2010年には75%にまで高まったという。また2005年には世界に60カ所あったデータセンターをシンガポールと米国の2カ所に集約するなど業務革新が進んでいる。

 ソニーが先に発表したテレビ事業の収益改善案は「世界の販売を4000万台から2000万台の体制に引き下げる」という大規模な事業縮小が柱となっている。これに伴う情報システム部門への影響について、長谷島氏は講演後に「IS(情報システム)については出ていない」と語った。