写真1 会場内では、雲の動きをはじめとする気象の変化や渡り鳥の移動などをリアルタイムに表示して、地球のダイナミズムを生きた形で体験できる「触れる地球」(Tangible Earth)などのユニークな機器も展示されている。
写真1 会場内では、雲の動きをはじめとする気象の変化や渡り鳥の移動などをリアルタイムに表示して、地球のダイナミズムを生きた形で体験できる「触れる地球」(Tangible Earth)などのユニークな機器も展示されている。
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写真2 OpenFlow対応Android端末のデモの様子。通信の経路制御を担当する「OpenFlowコントローラ」からの指示に基づいて実際のパケット転送処理を受け持つ「OpenFlowスイッチ」機能を実装したソフトウエアをインストールしてある。
写真2 OpenFlow対応Android端末のデモの様子。通信の経路制御を担当する「OpenFlowコントローラ」からの指示に基づいて実際のパケット転送処理を受け持つ「OpenFlowスイッチ」機能を実装したソフトウエアをインストールしてある。
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 NECは2011年11月10日と11日の2日間、東京でセミナーおよび展示会イベント「C&Cユーザーフォーラム & iEXPO 2011」を開催している。

 展示会場内では、一般企業向けのITソリューションやクラウド関連サービスのほか、スマートシティやxEMS(エネルギー管理システム)、ITS(高度道路交通システム)などの社会インフラ関連、デジタルサイネージをはじめとする映像ソリューション、果ては小惑星探査機「はやぶさ」に代表される宇宙関連技術まで、実に様々な製品やサービス、ソリューションが展示されている(写真1)。

 そんな展示会場の一角で、ひときわ記者の関心を引いたのが「ICT基盤」ゾーン内で展示されている「OpenFlow対応のAndroid端末」である(写真2)。次世代ネットワーク制御技術であるOpenFlowに対応したソフトウエア(OpenFlowスイッチ機能)を同社の企業向けタブレット端末LifeTouchに組み込んだもので、従来のスマートフォンでは実現できない「トラフィック状況やサービスの種類などに応じて最適な通信手段を自動的に選択して使う」ことを可能にする。

 具体的には、通信網の混雑状況に応じて3G/LTEやWiMAX、無線LAN(Wi-Fi)などの回線サービスを自動的に切り替えたり、「WebアクセスはWiFi経由で構わないが、会社へのリモートアクセスはセキュリティを重視して3G回線を使う」という具合に、アプリやサービスごとにパケットを流す回線を使い分けたりできるようになる。

 利用回線の選択に関しては、単純なオフロード(別の回線に切り替えてトラフィックを逃がすこと)だけでなく、「複数の回線を同時に利用して通信できる」ようになっている点がポイント。つまり、Wi-FiでWebアクセスをしつつ、同時に3G回線経由で会社にVPN接続し、さらに裏ではWiMAX経由でファイルをダウンロードするといった既存のスマートフォンとは大きく異なる通信スタイルが実現できるわけだ。

 実際に、会場内の端末では、(1)パケットカウンターが一定の値を超えたら通信費用を抑えるために自動的に3G回線からWiFiを利用するように切り替える、(2)WiFi経由でWebアクセスなどをしている状態で、メールの送信だけは3G回線を利用する(同時利用)---といったOpenFlowならではの柔軟な通信制御を実感できるデモを披露している。