写真●CTC 取締役 兼 専務執行役員の藁科至徳氏(右)と日本マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長(左)
写真●CTC 取締役 兼 専務執行役員の藁科至徳氏(右)と日本マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長(左)
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 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と日本マイクロソフトは2011年11月10日、両社のデータセンターを連携させてHPC(High Performance Computing)環境を提供する「ハイブリッド型HPCソリューション」を発表した。CTCのデータセンター(CTCデータセンター)に構築したプライベートなHPCシステムにおいて一時的に計算量が増加した場合に、米Microsoftのパブリック・クラウド・サービス「Windows Azure Platform」のリソースを活用する。

 ハイブリッド型HPCソリューションでは、CTCデータセンターに構築したプライベートなHPCシステムに対して処理能力を上回る計算ジョブが投入された場合に、Windows Azure Platformへジョブを分散投入する。一時的な計算量の増加に柔軟に対応できることが売りであり、年末や四半期末に計算処理業務が集中する銀行や保険会社を主なターゲットとする。

 分散処理の際、個人情報や企業の機密情報などは国内にあるCTCデータセンターに残し、計算に必要なデータのみを国外のAzureデータセンターへ渡す。Azureで計算した結果はCTCデータセンターへ戻される。計算要求先、計算結果の参照先は常にCTCデータセンターになるので、HPCシステムのユーザーはAzureを意識することなく利用できる。

 分散処理を希望する場合、ユーザーはCTCに対してAzureリソースの利用量、利用期間を事前申請する必要があるが、「今日申し込めば明日から利用可能」(CTC 金融システム事業企画室の下地俊一氏)だという。

 CTC 取締役 兼 専務執行役員の藁科至徳氏(写真右)は、「HPCは、金融商品のリスク計算やIFRS対応など金融コンプライアンスの分野でニーズが高い。金融IT市場の全体の成長は年率0.2%と低調であるのに対して、金融コンプライアンス向けのIT市場は年率13.7%で成長すると予測されている(IDCの調査を引用、成長率は2009年~2014年の実績と予測)。HPCのビジネスは今後ますます拡大するだろう」と述べた。

 また、日本マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長(写真左)は、「当社の大手町テクノロジーセンター内の『金融HPCラボ』には、同ソリューションで提供するHPCシステムを検証する環境がある」とアピールした。