米Adobe Systemsは現地時間2011年11月9日、モバイル端末向け「Flash Player」の開発を終了する方針を明らかにした。今後はHTML5への取り組みを強化する。

 同社は近日中に米GoogleのモバイルOS「Android」とカナダResearch In Motion(RIM)のタブレット端末「BlackBerry PlayBook」向けに「Flash Player 11.1」をリリースする予定だが、それを最後に新たなモバイル端末の構成(チップセット、ブラウザー、OSバージョンなど)に対応したFlashの開発は終了する。その後は既存構成向けの重要なバグ修正やセキュリティアップデートのみ提供する。また、Flash開発者がすべての主要なアプリケーション配信/販売ストア向けに、ネイティブアプリケーションを同社のアプリケーション実行環境「Adobe AIR」とパッケージ化できるようにする。

 Adobeは、「今や幅広い主要モバイル端末がHTML5をサポートし、一部の端末はHTML5のみに対応している。このことから、複数のモバイルプラットフォームのブラウザーにおいてコンテンツを作成および配信するには、HTML5が最良の方法となっている」として、HTML5への投資を拡大すると説明した。GoogleやRIM、米Apple、米Microsoftなど、HTMLコミュニティにおける主要企業と引き続き協力し、モバイルブラウザーの進歩につながるHTML5の革新を推進するとしている。

 なお、パソコン向けFlashに関しては開発を継続する。すでに次期版「Flash Player 12」に着手しており、HTML5にスムーズに移行するための新機能を提供することも検討している。

 これとは別に、同社は約750人の従業員削減を含むリストラ策を11月8日に明らかにした(Adobeのプレスリリース)。リストラ関連費用は約8700万~9400万ドルに上る見込みで、このうち約7300万~7800万ドルを2011会計年度第4四半期(2011年9~11月)に計上する。

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