写真●角川グループホールディングスの角川歴彦会長(右)とドワンゴの川上量生会長
写真●角川グループホールディングスの角川歴彦会長(右)とドワンゴの川上量生会長
[画像のクリックで拡大表示]

 2011年11月8日、ドワンゴの電子書籍配信サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」と角川グループの電子書籍プラットフォーム「BOOK☆WALKER」が連携することを受け(関連記事)、角川グループホールディングスの角川歴彦会長とドワンゴの川上量生会長が電子書籍などについて対談した(写真)。席上、角川会長は米アマゾン・ドットコムと電子書籍の展開について「1年間交渉している」ことを明らかにし、報道によるアマゾンの日本への電子書籍事業参入を裏付けた。

 角川会長は、「アマゾンとの交渉のテーブルにはかなり(の出版社が)着いていると思う。アマゾンがKindle Fire(関連記事)を年内に(日本で)出すのか出さないのか今一番の関心時だけれども、その時に出版社との話し合いが果たされていない、ということはない」と述べ、「僕は1年間交渉している。1年間ハードな交渉をずっとやってます」と説明。そして「現在11条件くらいに煮詰まってきている。かなりいいところまで来ている」と語った。

 対談の話題はソーシャルリーディングにも及んだ。角川会長は作家が読者と接する機会としてサイン会を挙げつつ、「どうもそれだけでは足りないんじゃないかと感じている作家も増えている。ニコニコ静画のソーシャル性は非常に新しい手法」と評価。これを受け、ドワンゴの川上会長は、「ソーシャルな部分も含めてコンテンツだと思う」との考えを述べた。

 また、川上会長は、ネットはコンテンツの寿命を短くする方向に作用すると指摘。その中にあって「唯一コンテンツの寿命を延ばしているのは2次創作。2次創作というのは改変だけではなくて、コメントを付けることも該当する。それをもっとコンテンツ自身に取り込むことで、コンテンツの寿命は長くなるし、コンテンツの価値も高まる」とし、ソーシャルリーディングが電子書籍において重要な役割を担うとの見方を示した。