NECは2011年11月7日、ベクトル型スパコン「SXシリーズ」の次世代機の概要を明らかにした。2008年に出荷を始めた先代の「SX-9」1台の1.6テラFLOPSと同等の演算性能を、消費電力は10分の1となる2.8KW、設置面積は1/5で実現できるという。価格はこの構成で2000万円ほどになる見込み。

 製品化は2013年~2014年ごろ。国内とドイツに専任プロジェクトチームを立ち上げ、顧客への説明を始めた。電力代を含めたトータルコストの削減をうたい、ドイツやフランスの気象庁など既存顧客を中心に販売する。

 同社のベクトル型プロセッサとしては初めて、4コアのマルチコア型プロセッサを採用する。複数のプロセッサを1チップに集約することでコア間のデータ転送速度を高め、アプリケーションソフトの実行性能を引き上げる考え。

 CPUコアが持つベクトル演算器数は「SX-9」の2倍。1コア当たりの理論演算性能は64ギガFLOPS、メモリー帯域は1コア当たり64ギガバイト/秒、となる。

 前世代の「SX-9」では1プロセッサ(=1コア)当たり102.4ギガFLOPSだった。1コア当たりの演算能力は減っているが、これは動作周波数を引き下げるなどして消費電力の抑制を優先した結果とみられる。