写真1●NTTドコモの山田隆持社長
写真1●NTTドコモの山田隆持社長
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写真2●前年同期の特殊要因を除くと、第2四半期単独で増収増益を達成しているという
写真2●前年同期の特殊要因を除くと、第2四半期単独で増収増益を達成しているという
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 NTTドコモは2011年11月2日、2011年4~9月期の連結決算(米国会計基準)を発表した。売上高は前年同期比1.2%減の2兆1129億8200万円、営業利益は同4.3%減の5085億100万円と減収減益となった。純利益も同3.5%減となる2990億1800万円である。

 ただ同社の山田隆持社長(写真1)は、スマートフォンの販売台数は前年度年間台数を44%上回る363万台となり、第2四半期単独のパケットARPUは前年同期比150円増と、業績は順調に推移していると強調する。さらに昨年度の第2四半期には、ポイント・故障修理制度の見直しによって利益を550億円積み増したため、この一時的な影響を除外すれば、「実質的に第2四半期単独でみると、今期は増収増益を達成している」(山田社長)と語る(写真2)。

 こうした結果から2011年度の通期予想を上方修正するとした。売上高は当初計画から100億円増の4兆2400億円に、営業利益は同200億円増の8700億円。スマートフォン販売台数は同250万台増の850万台、パケットARPU前年比は、同30円増の170円にするとした。

スマホは2015年度に4000万契約、Xiも3000万契約を目標に

 決算と併せてNTTドコモは、2015年度までをターゲットとする中期計画「中期ビジョン2015」を発表した。モバイルを核とした総合サービス企業を目指すとし、様々な産業/サービスとの融合により新た市場の創出を狙うというのが主な内容だ。この中で同社はいくつかの重要な指標を示した。

 まずスマートフォンの契約数について2015年度に4000万契約を目指す。これは全体の契約数の約60%程度を想定しているという。LTEサービスの「Xi」については、2015年度3000万契約を目標とする。

写真3●Xiの展開を前倒し。新たに設備投資金額も明らかにした
写真3●Xiの展開を前倒し。新たに設備投資金額も明らかにした
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 Xiのエリア展開も大幅に前倒し、2014年度に全国人口カバー率98%を目指す(写真3)。2013年~2015年度の設備投資額として、2010年~2012年度の約3300億円を超える約5500億円を充てる。なお2012年半ばからXiの最大速度を、一部の地域で100Mビット/秒に増速する。これは1.5GHz帯の15MHz幅×2を利用して提供。1.5GHz帯は周波数移行の関係から、当初15MHz幅×2を利用できるのは一部地域に限定される。東名阪を含む全国で15MHz幅×2が利用可能になるのは2014年度以降になる。

 収益の核となるパケット収入の2015年度の目標については、2011年度の予想約1.8兆円の約1.5倍となる約2.7兆円とした。さらにメディア・コンテンツ事業やM2M、金融決済事業など、同社が新領域と呼ぶ収益の拡大も目指し、2015年度には2011年度の約2.5倍となる約1兆円を目標とする。なお2015年度の売上高や営業収益の目標などは、不確定要素が多いとして明らかにしなかった。

トラフィックは2015年までに12倍に、「900MHz帯にも手を挙げる」

 中期ビジョンは、スマートフォンなど大容量のトラフィックを発生するデバイスの浸透がベースになる。増大するモバイルトラフィック対策も不可欠となる。

 山田社長は、2015年度のモバイルトラフィックが2011年度の約12倍に膨れ上がる予測を明らかにし、対応方針として、LTEへの移行や新周波数帯の活用などによる「ネットワーク容量の拡大」、ヘビーユーザーに対する速度制御による「トラフィックコントロール」、無線LANやフェムトセルによる「データオフロード」の3点に重点を置く考えを示した。

 新規の周波数帯としては、700M/900MHz帯の割り当て作業が始まりつつある。山田社長は「いずれかをぜひ獲得したい。先に割り当てが始まる900MHz帯にも手を挙げたい」とし、既にソフトバンクモバイルとイー・アクセスが獲得の意向を示している900MHz帯への参戦も示した。

 なお新規の周波数帯を獲得したとしても、1.5GHz帯と合わせて約2倍弱。さらに周波数利用効率がHSPAと比べて3倍のLTEをすべての帯域に入れたとしても、全体で容量は約6倍に増えるにとどまる計算だ。山田社長は「指摘の通り、それだけでは容量は半分足らない。足りない分を無線LANやフェムトセルを使ったデータオフロードや、ヘビーユーザーへのトラフィックコントロールで対処してく必要がある」と説明。場合によっては、利用者が端末から離れたときに動画ストリーミングをオフにしてもらうような取り組みが必要になるとした。

[決算資料、中期計画「中期ビジョン2015」]