写真●決算を発表するNECの遠藤信博社長
写真●決算を発表するNECの遠藤信博社長
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 NECは2011年10月27日、2011年4~9月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比1.8%減の1兆4432億円で、営業利益は同6.3倍の68億円。当期純損益は赤字幅が縮小したものの110億円の赤字だった。スマートフォンなどによるデータ通信量拡大を背景とした通信会社向けのネットワーク機器販売の好調さなどが、従来予想以上の営業利益の増加につながった。「事業の非連結化による売り上げ減の影響を除くと、売上高は前年並みを維持した」(NECの遠藤信博社長、写真)。

 業績改善に大きく寄与した通信事業者向けの「キャリアネットワーク」セグメントは、売上高が前年同期比8.6%増の2942億円で、営業利益が同2.2倍の153億円の増収増益。携帯電話の基地局販売や、海底ケーブルなどの海洋システムなどがけん引した。

 一方で、「ITサービス」のセグメントは減収減益で不調さが続く。売上高は前年同期比2.2%減の3627億円、営業利益は同14%減の30億円。自治体や医療向けの販売は堅調だったが、流通業や通信業向けが減少したことなどが響き、同セグメントの業績は7月時点での計画値を下回って推移した。同社は国内IT投資動向について、「11年度下期から持ち直し2012年度以降に本格回復する」と見込んでいた。現状では見通し自体は変えていないが、「タイの洪水による製造業への影響、欧州債務問題の世界経済への波及などの懸念もあり、IT投資動向を見通すのが難しくなってきている」(遠藤社長)とした。

 前日に決算発表した富士通に続き、NECも為替の影響などを織り込み、通期の業績見通しを修正。売上高を従来予想比500億円減の3兆2500億円へと下方修正した。営業利益や経常利益、最終利益については据え置いた。遠藤社長は「中期経営計画の折り返し地点にきたが、まだ期待通りの数値に届いていない。さらなる努力が必要」と気を引き締めていた。