富士通は2011年10月26日、2011年4~9月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.6%減の2兆923億円で、営業利益は同85.0%減の70億円の減収減益。四半期純利益も同69.8%減の57億円となった。東日本大震災の影響で4~6月期は前年同期比で減収と赤字幅が大きくなったが、7~9月期は「全体的には7月時点での計画通りに推移。前年レベルまで改善されている」と加藤和彦CFO(最高財務責任者)は強調した。

 ITサービスやシステム開発事業などが含まれる「テクノロジーソリューション」のセグメントは、売上高が前年同期比1.1%減の1兆3854億円で、営業利益は同18.9%減の457億円。携帯電話基地局の販売や、アウトソーシング事業が堅調だったが、大型システム商談の減少などにより減収となった。震災の影響に加え、クラウドコンピューティング事業などへの先行投資が利益面での下押し要因となった。

 PCや携帯電話などで構成する「ユビキタスソリューション」セグメントは、売上高が前年同期比4.7%減の5158億円で、営業利益が同71.3%減の43億円。PCは、欧州を中心に販売台数が増加したという。

 為替の影響などを織り込んだことで、富士通は通期の業績見通しを修正。7月の公表時点から売上高は600億円減額し、通期で4兆5400億円とした。営業利益は1350億円のまま、連結の合計値としては修正していない。ただ、タイの洪水の影響については、「まだ調査中であり通期見通しにはこの影響を織り込んでいない」(加藤CFO)。

 タイの大規模洪水により、最も影響を受けるのがPCの生産。主要なハードディスクメーカーの生産拠点がタイに集中しているためだ。「10~12月期にPCの生産でハードディスクがどれだけ足りなくなるのかは、今後の大きな課題だ」と加藤CFOはコメントした。