米アマゾン・ドット・コムは2011年10月25日(米国時間)の7-9月期決算(関連記事)について幹部による電話会議を開いた。

 トム・スクタックCFO(最高財務責任者)は「Kindle Fire」などの新型シリーズについて「予測できない部分は残るが、需要が豊富で、商機が目の前にある」と強調。ジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)は「Kindle Fireへの予約が好調なため、予定より数百万台も生産を増やしている」との声明を出した。クリスマス商戦に向けて「Kindle」の売れ行きがアマゾンの経営を左右する構造が、決算や幹部のコメントから浮き彫りになっている。

 7-9月期の売上高は108億7600万ドルと前年同期比で44%増となったものの、純利益は6300万ドルと同73%の減益となった。要因は流通倉庫と新製品への投資にある。スクタックCFOが「今年は15の流通センターを開く。さらに1-2増えるかも知れない」と話すように、7-9月期の流通網への投資は11億2100万ドルと前年同期の6億8000万ドルから64%も増えている。

 また先端技術への開発投資は7億6900万ドルで、これも前年同期の4億4200万ドルから73%も増えた。「新型Kindleが10-12月期の柱になる」(スクタックCFO)が言うように新製品に賭けるアマゾンの姿勢が明らかになっている。スクタックCFOが強調するのは、新型Kindleの「ライフ・タイム・バリュー(生涯価値)」。端末だけではなくコンテンツも豊富で魅力が大きいという意味で、投資回収に自信を示す。

 「眼の前にはチャンスがある」と強調するが、10-12月期の収益見通しには幅がある。売上高は164億5000万ドルから186億5000万ドルの間で、前年同期比で27%から44%の成長を見込む。営業利益については2億ドルの赤字から2億5000万ドルの黒字と予測する。株式に連動した報酬費用も見込んでいるためもあるが、損益状況が新製品に掛かる構図はしばらく続きそうだ。