写真●日本ヒューレット・パッカードで執行役員HPソフトウェア事業統括を務める中川いち朗氏
写真●日本ヒューレット・パッカードで執行役員HPソフトウェア事業統括を務める中川いち朗氏
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 日本ヒューレット・パッカードは2011年10月25日、運用管理ソフトの新製品「HP Operation Manager i software 9」を発表した。システム障害への対応を、管理者に成り代わって意思決定するソフトである。他のソフトウエアと組み合わせることで、システム運用を自動化できる。11月1日に出荷する。価格は420万円(税込)から。

 Operation Manager iは、統合監視コンソールの高機能版に相当する。システム障害を検知するだけでなく、障害の根本原因と影響範囲を示し、対応の優先順位を決定して提示する。このための仕組みとして、障害の原因となったイベント(機器やサービスの稼働状況や性能状況)と、起こっている症状のイベントをリアルタイムに関連付ける基盤ソフト「Run-Time Service Model」を利用する(Operation Manager iの一部としてバンドル提供)。

 基盤となるRun-Time Service Modelは、ITシステムの構成情報を分単位で収集し、構成要素同士の関係性をリアルタイムに把握するためのデータベースである。前提として、構成情報の親子関係といったイベント同士の依存関係を、あらかじめモデル化しておく必要がある。初期導入に必要な期間は、CMDB(構成管理DB)などから情報をインポートした場合に3カ月程度としている。

 同社でHPソフトウェア事業統括を務める中川いち朗氏(写真)は、Operation Manager iを投入する背景について「仮想化の浸透や管理対象デバイスの増加が進み、運用管理コストが拡大し続けている。3年後には人手では管理できなくなる」と説明する。現在は、統合コンソール製品がアラートを出した後は、高いスキルを持った管理者が人手でイベントの関連性を整理し、影響範囲や優先順位を決めている。ここの部分を自動化する必要があったとしている。

稼働状況/性能の管理製品群を「バージョン9」に刷新

 新製品のOperation Manager iに加え、同時にいくつかの既存のソフトウエア製品群も新バージョンへと刷新した。いずれも2011年11月1日に出荷する。それぞれの製品名と概要、価格(税込)は、以下の通り。なお、これらの製品群は、スイート製品「HP Business Service Management 9」を構成する要素となる。

 (1)「HP Business Process Monitor software 9」(10万800円から)と(2)「HP Real User Monitor software 9」(672万円)は、仮想ユーザーおよび実ユーザーによる体感レスポンス時間を計測する。

 (3)「HP Diagnostics software 9」(126万円から)は、アプリケーションサーバー(J2EE、.NET)にエージェントを埋め込むことによって、性能劣化や障害などの原因をドリルダウンして判別できるようにする。

 (4)「HP System Availability Management software 9」(1万8900円から)は、可用性と性能をエージェントレスで監視する。(5)「HP Service Level Management software 9」(6405円から)は、統合的なSLM(サービスレベル管理)ソフト。