米ゼネラル・エレクトリック(GE)は2011年10月21日に7-9月期の決算を発表し、投資家向けの電話会議を開いた。同期の売上高は354億ドルと前年同期比で横ばいだったが、純利益は32億ドルと同57%増加した。

 ジェフ・イメルト会長兼CEO(最高経営責任者)は「2012年に向けても成長を続けられる」と自信を示した。

 米GEは産業機器や航空エンジン、さらに医療製品、金融事業まで抱える複合企業。各国に事業を展開し、世界経済を映す象徴的な銘柄となっている。主力の医療機器事業について日欧市場の見通しを聞かれたイメルトCEOは「欧州はまだ注意が必要だが、日本は回復する」との見通しを示した。また為替変動が売上高に与える影響についても「昨年からの変化ほどの打撃は来年はないだろう」と語った。キース・シェリンCFO(最高財務責任者)は「先進国よりも新興国に高い成長が認められる。そこを攻める」という。

 2008年のリーマンショックで資本不足に陥ったGEは、富豪投資家のウォーレン・バフェット氏に優先株を発行して資金を得た。だが2011年9月に約33億ドルで買い戻すほど財務体質を改善した。イメルトCEOは「優先株の解消により2012年に向けて、1株当たり利益を高められるだろう」と語った。

 世界経済に暗雲が立ち込める中で、GEが強気の見通しを示したことは産業界の投資戦略にも影響を与えそうだ。

 成長を支えるのは、エネルギーや航空機部門。GEは既にメディア部門を売却し、金融事業を縮小するなど事業構造の転換を進めている。特に先端的な都市運営を手がける「スマートシティ事業」や環境に優しい商品を増やす「エコマジネーション」を柱に掲げている。今後もこの分野で「買収を続ける」と宣言しており、産業再編も加速しそうだ。

 またキースCFOは「世界規模で社内のITプロジェクトへの投資を続けており、運営を効率化させる」とし、IT活用による体質強化を進める考えだ。

■変更履歴
最後から2つ目の段落で「スマートスティ」とあったのは「スマートシティ」の、「エコマジネーネーション」とあったのは「エコマジネーション」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2011/10/25 13:00]