総務省は2011年10月21日、2012年7月から新たに利用可能な900MHz帯の割り当て審査基準「3.9世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設に関する指針案(開設指針案)」を公表した。この中の割り当て対象の周波数幅は900MHz帯の上り下り各15MHz幅で、割り当てられる事業者は1社になる。LTE人口カバー率や移行費用負担額、割り当てられている周波数帯の差異、割り当てられている周波数幅に対する契約者数の割合などが、主な審査基準になった。

 人口カバー率は周波数が割り当てられた日から4年後の年度末までに50%、7年後の年度末までに80%を満たすことが必須条件になっている。さらに7年後の年度末までにLTEサービスを開始していることも必須になっている。LTEサービスにおける人口カバー率は審査基準に入っており、率の値が大きい方が有利になる。率は0%、5%、10%など5%刻みで申請する。

 MCAおよびICタグ(RFID)の移行費用負担額については、1200億円以上の負担が可能なことが必須になっている。また、負担可能な金額の多寡が審査基準になった。ただし2100億円以上の値は同等と見なすとしている。

 このほかの審査基準は、「すでに各事業者に割り当てられている周波数帯の差異や、周波数幅に対する契約者数の程度を勘案する」としており、事業者が持つ周波数帯の特性や、契約者数から算出したひっ迫度合いを審査すると見られる。

 同じく新たに割り当て予定の700MHz帯については、「現在も技術的条件を検討中」(総務省)という理由から今回は開設指針案は示さなかった。ただし開設指針案には、900MHz帯の割り当てを受けた事業者は700MHz帯の割り当て申請において劣後するという記述があり、事実上900MHz帯の割り当てを受けた事業者は700MHz帯を割り当てられないことになるようだ。

 総務省は2011年10月22日から11月21日まで開設指針案を含む制度整備案の意見募集を行い、電波監理審議会を経て早ければ12月下旬から割り当て申請(開設計画の受け付け)を始める予定である。

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