写真1●2011年11月から12月にかけて出荷する三つの新製品。HP A10500(写真左)、HP A5830(写真中央)、HP E3800(写真右)
写真1●2011年11月から12月にかけて出荷する三つの新製品。HP A10500(写真左)、HP A5830(写真中央)、HP E3800(写真右)
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写真2●日本ヒューレット・パッカードでエンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括HPネットワーク事業本部長の大木聡氏
写真2●日本ヒューレット・パッカードでエンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括HPネットワーク事業本部長の大木聡氏
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 日本ヒューレット・パッカードは2011年10月20日、サーバー仮想化環境向けのToR(Top of Rack)スイッチや10万円未満のL3スイッチなど、データセンターから中小規模それぞれの分野に向けて、ネットワーク機器の新製品群をまとめて発表した(写真1)。2011年12月から順次出荷する。

 データセンター向けでは、ToRスイッチ2製品を発表。ToRスイッチとは、ラック上部に位置し、ラック内のサーバー機やストレージを直接収容するスイッチのこと。新製品2製品とも、米HPが買収した米3Com時代から続く独自のスタック機構「IRF」を用いて、最大4台のスイッチを論理的に1台のスイッチとして運用できる。複数ラックをまたがったフラットなレイヤー2ネットワークを構成できるため、サーバー同士が直接通信するサーバー仮想化環境に向く。

 新製品の一つ「HP A5900」は、複数スイッチを論理的に一つに見せる仕組みとして、IRFに加え、IETF TRILL(TRansparent Interconnection of Lots of Links)とIEEE 802.1aq(SPB:Shortest Path Bridging)の二つの仕様を取り入れた。さらに、仮想スイッチの代わりに外部スイッチを使って仮想サーバー間で通信できるようにするVEPA(Virtual Ethernet Port Aggregator)に対応する。また、FCoE/DCBに対応する。出荷は2012年春で価格は未定である。

 IRFとTRILL/SPBの位置付けは、IRFは独自技術だが簡単で安価な仕組み、TRILL/SPBは標準化進行中の技術だが、より大規模で高価な仕組み、というもの。日本HPでHPネットワーク事業本部長を務める大木聡氏(写真2)は、「小中規模のL2ネットワークでは、TRILLやSPBを使わなくてもIRFで十分」という。なお、IRFとTRILL/SPBを組み合わせたハイブリッド構成も可能で、TRILL/SPBで利用するIS-ISのテーブル情報を減らすことができる。

 ToRスイッチのもう一つの新製品「HP A5830」は、急激に増大するバーストトラフィックに対処できるように、1Gバイトの大容量バッファメモリーを積んだ製品である。2011年11月に158万円(税別)で出荷する。

フルメッシュ接続のスタッカブル機などを中小規模向けに用意

 中小規模ネットワーク向けの新製品は三つある。エッジ用途のスタッカブルスイッチ「HP E3800」、ローエンドのレイヤー2/3スイッチ「HP E2620」、コアスイッチ「HP A10500」、である。

 HP E3800は、スタッカブルスイッチ。最大の特徴はスタック接続手段として、リングやチェーンではなくフルメッシュ構成がとれること。スイッチきょう体間のホップ数が少ないため、遅延を小さくできる。スタック接続ポートの数は4個なので、最大5台のHP E3800をフルメッシュ構成で接続できる。スタックポートあたりの帯域は84Gビット/秒。価格は45万8000円(税別)から。2011年12月に 出荷する。

 HP E2620は、ローエンドのL3スイッチ。最大の特徴は、予定価格で10万円未満と安価なこと。エッジL2スイッチとして代表的な認証手段であるIEEE802.1X認証/MAC認証/Web認証をそろえているほか、L3ルーティングプロトコルとして簡易で広く使われているRIPを利用できる。

 HP A10500は、シャーシ型のコアスイッチ。最大の特徴はスロットあたりの帯域が160Gビット/秒と広いこと。これにより、ポート密度を高められる。価格は400万円(税別)から。2011年12月に出荷する。