写真●自見庄三郎金融担当大臣
写真●自見庄三郎金融担当大臣
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 金融庁は2011年10月17日、企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議を開催した。6月30日の再開第1回(関連記事:「中間報告を見直すべきか」、企業会計審議会がIFRS強制適用に関する議論再開 )、8月25日の再開第2回(関連記事:IFRS強制適用について11論点を提示、企業会計審議会が開催)に続いて、IFRS(国際会計基準)そのものを日本の会計基準として採用する強制適用(アドプション)について2時間15分にわたり議論した。

 前回までの2回の会議では、委員がそれぞれの立場から意見を主張するのにほぼ終始していた。今回も各委員の基本的な主張は変わらないが、より項目を絞った形で意見を述べた。特にIFRSの適用対象について、連結財務諸表と単体(個別)財務諸表を分離する「連単分離」の考え方を支持する意見が目立った。

 前2回の会議と同様、自見庄三郎金融担当大臣(写真)が冒頭であいさつした。前2回の会議にフル参加した自見大臣は「2回の合同会議で多様な意見を聞くことができた」として、「今回からは前回示した項目に沿って順次、議論・討論をお願いしたい」と委員に訴えた。今回も自見大臣は会議の終了まで在席した。

 自見大臣が言及した項目とは、前回の会議で示した「今後の議論・検討の進め方(案)」として示した11の項目を指す。この項目に関して、特に反対意見が出なかったことから「おおむね了解を得た」(安藤英義会長)とし、今回は「諸外国の情勢・外交方針と国際要請の分析」と「我が国の会計基準・開示制度全体のあり方」という二つの項目を議論の対象とした。

 「諸外国の情勢・外交方針と国際要請の分析」については、金融庁が米国や欧州、アジアを中心とするIFRS適用の状況やIASB(国際会計基準審議会)の活動への取り組みを説明したうえで、「議論していただきたい論点」として六つの論点を示した。「金融危機以降、世界の金融・経済情勢が大きく変化する中において、会計基準のあり方を議論するに際して、留意すべきことは何か」「我が国の戦略を実行していくに当たって、基準設定主体、作成者、利用者、監査人、取引所、規制当局等の利害関係者に求められる役割は何か」などである。

 「我が国の会計基準・開示制度全体のあり方」についても同様に、金融庁は「単体財務諸表に係る会計基準は、会社法・税法や我が国固有の商慣行等と関連が深く、そのあり方についてはより慎重な検討が求められると考えられるが、どうか」「日本基準における連結と単体の関係とは別に、開示制度上、連結では米国基準、IFRSを採用可能としつつ、単体については日本基準とするという意味で、連結と単体の分離が生じている。これまで運用されてきた中で、大きな問題は生じていないと考えられるが、どうか」など四つの論点を示した。