地方自治情報センター(LASDEC)研究開発部の永野 恵寿参事(撮影:新関雅士)
地方自治情報センター(LASDEC)研究開発部の永野 恵寿参事(撮影:新関雅士)
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 東京ビッグサイトで開催された「ITpro EXPO 2011」内の「IPアドレス枯渇対策ワークショップ」で、財団法人地方自治情報センター(LASDEC)研究開発部の永野 恵寿参事は、地方公共団体のIPv6への移行が遅れていることについて、警鐘を鳴らした。

 永野氏によれば、2009年まで、地方公共団体に対してIPv6への移行準備の度合いやその移行の必要性の感じ方などを調査するアンケートはほとんどなかったと説明。そこでLASDECが、2010年に地方公共団体を対象としたアンケートを実施した。その結果、具体的な移行準備を進めている団体は都道府県では28団体中1団体だけ、市区町村では全体の0.7%(全体は853団体)と非常に少ないことがわかったという。

 アンケートでは、さらに対応の低さの原因やその課題を尋ねたところ、「上層部の人や議会議員などがIPv6の必要性やIPv4アドレスの枯渇に関する知識がないこと」や「情報システム部門の担当者がIPv6に移行するスキルがないこと」などが上位に入った。

 この結果に危機感を覚えたLASDECは、「IPv4アドレス在庫枯渇緊急対策ガイド」を作成し、各地方公共団体に配布した。ガイドは、IPv4アドレスの枯渇の概要やIPv6移行への移行計画、住民などからの問い合わせがあった際の想定問答、議会や住民向け説明会の資料などが含まれる。情報システム担当者向けに、機材調達時の仕様書のサンプルなども付けた。

 さらに、ガイドの第1章部分だけを切り出したハンドブックも作成。これを使って、上層部の人や議会議員にIPv6移行の必要性に対する理解度を高められるとしている。

 永野氏は、ガイドでは地方公共団体が新規で購入するネットワーク機器は「IPv6 Ready Logo Phase2」を取得した機器に限定し、既に決定しているシステム更新の計画があってもIPv6への対応ができていなければ、計画の凍結を推奨しているという。「最近は、IPv4しか対応できない機器を売り抜けようとする企業があると聞いている。地方公共団体には、そのような機器ではなく、ここに挙げた仕様を満たすIPv6対応機器を売り込むプレゼンを考えてほしい」と要望した。