写真●日本政策学校の代表理事を務める金野索一氏
写真●日本政策学校の代表理事を務める金野索一氏
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 日本を担うリーダーの養成を目指す「日本政策学校」が、2011年11月末に開学する。長引く不況や大震災からの復旧・復興という日本が直面する危機的な状況を打開し、政治をけん引できるリーダー輩出を志す私塾だ。政策学校・一新塾や起業家養成学校アタッカーズ・ビジネススクールなどを立ち上げた経験を持ち、同学校の代表理事を務める金野索一氏は「まずは、地方自治体の首長を担う人材を育てる」と語る(写真)。

 地方自治体の首長に注目したのは、総予算規模が中央政府予算よりも大きいことに加えて、「選挙の結果、その自治体がどう変わったかという因果関係が明確なので成功モデルを作りやすい」(金野氏)から。属人的な成功ではなく、裏付けあるアプローチに基づいた成功事例を増やすことで「中央政府を変える流れを作りたい」(金野氏)。

 同校のカリキュラムでは、「現在の日本が直面する6個の問題に対するソリューションを提供する」(金野氏)。そのうちの目玉が「ソーシャルメディアの活用」。日本の選挙で必要とされる“三バン”、すなわちジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)のない人が政治家になるためのソリューションの一つとして、ソーシャルメディアに注目した。

 金野氏が挙げる成功モデルは、各種ソーシャルメディアを使って少額寄付や個人の支持を集めて米国大統領に当選したバラク・オバマ氏や、Twitterを通じてメッセージを発信し続けるソフトバンクの孫正義社長。彼らの活動を参考にしつつ、日本政策学校のカリキュラムの一つとして、現役の国会議員や首長によるソーシャルメディアの運営を手伝うことにしている。同学校オリジナルのソフトを作って、あるコンテンツを複数のソーシャルメディアにアップロードできるようにし、実践を通じて教えていく。「新しい政治活動のパイオニアとして、先進事例を作っていきたい」(金野氏)とした。

 ソーシャルメディアの活用のほかには、議論を通じた政策の強化、ケーススタディ、名著の学習、グローバル思考、若者の政治参加をテーマとした卒論といったカリキュラムを用意する。

 講義は、基本的に毎週火曜日の夜。月1~2回度程度は土曜日に行われる。これは「仕事を続けながら、政治家として足りない部分を学校で補ってほしい」(金野氏)との配慮から。世襲や政治家養成学校などにより、政治しか知らない人が政治をすることが多い現状を問題視した。

 講師には、元首相の鳩山由紀夫氏、元内閣官房長官の野中広務氏、元郵政大臣の野田聖子氏、元厚生労働大臣の長妻昭氏、内閣府特命大臣の蓮舫氏といった政治家だけでなく、ジャーナリストの田原総一朗氏、慶應義塾大学教授の金子郁容氏、作家の佐野眞一氏らそうそうたる顔触れが並んでいる。

 10月18日には、開校前イベントとして「ソーシャルメディアが変革させるこれからの日本の政治」と題したシンポジウムを開催する。同シンポジウムには、フリージャーナリストの上杉隆氏が基調講演に登壇するほか、参議院議員の世耕弘成氏、佐賀県武雄市長で日本ツィッター学会会長、日本フェイスブック学会会長の肩書を持つ樋渡啓祐氏、広島県広報総括監の樫野孝人氏、KLab社長の真田哲弥氏が登場するパネルディスカッションが行われる予定だ。