写真●エンジニアリングクラウドのデモ動画を展示した。
写真●エンジニアリングクラウドのデモ動画を展示した。
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 富士通は、高精細な画像操作を要求するCADアプリケーションを、少ないデータ転送量で遠隔操作できるようにするシンクライアント(画面情報端末)システム「エンジニアリングクラウド」のデモ動画を、東京ビッグサイトで開催中のITpro EXPO 2011の会場で披露している(写真)。サービス開始は2012年1月を予定する。

 CAD/CAM/CAEや部品表など高度なグラフィックス処理能力を要求する製造業向けソフトを、クラウド経由で遠隔操作できるようにする。画面情報端末の仕組みを採用することで、手元にワークステーション(OpenGLグラフィックスカードなどを搭載した高性能PC)が要らなくなる。

 最大の特徴は、画面情報端末プロトコルとして、富士通研究所が開発した独自技術「RVEC」を採用する点である。Windows標準のRDP(Remote Desktop Protocol)と比べ、動画再生の帯域を約10分の1程度に削減できる、としている。

 転送データ量を低く抑える仕組みは、静止画の圧縮フォーマットに加えて動画の圧縮フォーマット(MPEG)を併用する点である。画面の更新頻度に応じて、動画領域と静止画領域に分ける。画像の回転や移動など、画面更新頻度が高いケースでは、すべてを静止画で転送する場合と比べ、転送データ量を低く抑えられる。

 なお、富士通は2011年6月21日に「エンジニアリングクラウド」を発表している。ユーザーの既存アプリケーションを富士通のデータセンターにコロケーションする使い方に加えて、富士通の製造業向けPLMソフト群をSaaS形式で提供する使い方も想定している。