KDDIは2011年10月12日、韓国のコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)事業者であるCDNetworksを買収すると発表した。CDNetworksは非上場。KDDIは既存株主から10月中に約1億6700万米ドル(約128億円)で普通株式の85.5%を取得する。将来的には100%子会社にすることも見込む。

 CDNetworksを買収することで(1)インターネット/スマートフォンユーザーのネット利用の快適化、(2)アジア圏での企業向けサービスの拡充を狙う。CDNはインターネット上に多数設置したサーバーを利用して、キャッシュやデータ圧縮などでコンテンツの表示速度やダウンロード速度を向上させる。コンテンツ事業者のサーバーの負荷を軽減する効果もある。

 KDDIは自社網内にCDNを取り込み、既存の通信インフラよりも上位レイヤーのネットワークを手に入れることになる。「エンドユーザーのストレスを少なくするため、CDNも包含した通信事業者となる」(KDDI)。エンドユーザーに人気のサービスは、KDDIが自らコンテンツをキャッシュする可能性もあるという。従来のCDNでは、コンテンツ事業者がCDNと契約する必要があった。

 KDDIは10月14日にアップルの「iPhone 4S」を発売するなどスマートフォンに力を入れている。スマートフォンは携帯電話網のトラフィックを急増させ、通信事業者のネットワークに負荷をかける。KDDIはCDNを使って、動画を圧縮するなどトラフィックをコントロールする可能性も示唆した。