写真1●保守業務向けM2Mシステムの例。スマートフォンから保守の対象となる機器の故障履歴などを確認できる
写真1●保守業務向けM2Mシステムの例。スマートフォンから保守の対象となる機器の故障履歴などを確認できる
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写真2●機器メーカーやエンドユーザー向けのアプリケーションでは、PCの画面から日々の稼働状況が閲覧可能
写真2●機器メーカーやエンドユーザー向けのアプリケーションでは、PCの画面から日々の稼働状況が閲覧可能
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 富士通は2011年10月12日、IT分野の総合イベント「ITpro EXPO 2011」に、M2M(マシン・トゥ・マシン)の技術を使ったシステムソリューションのデモを展示した。M2Mとはセンサーや設備同士がデータや命令をやりとりできるようにして、自動化や効率化を図る技術のこと。M2Mの導入により、故障によるダウンタイムを短縮するなど、機械の効率的な運用が狙える。

 展示の内容は大きく2つ。同社が提供中の「FENICS II M2Mサービス」と、富士通アドバンストエンジニアリングが参考出展した「FAE 保守支援ソリューション」である。

 FENICS II M2Mサービスは、機械用の通信インフラや管理サーバーのサービスを提供するもの。工作機械などの設備機器に、携帯電話回線による通信モジュールを付与。設備機器の温度や連続稼働時間などのデータを、ネットワーク経由で富士通のデータセンターで蓄積・管理する。また顧客企業の業務システムからデータを利用するためのAPIなども提供する。海外の通信事業者や通信機器メーカーとの協業体制を整えたので、国内だけでなく海外に設置した機器の情報も取得可能という。

 プレス機械などを手がける栗本鐵工所が2011年8月から、FENICSII M2Mサービスを利用して、自社の顧客向けに「クリモト遠隔保守サービス」を提供中だ。

 FAE 保守支援ソリューションは、FENICS II M2Mサービスを使ったソリューションサービス。設備機器のメーカー、設備機器を使うエンドユーザー、保守を担うサービスエンジニアそれぞれに必要なアプリケーションを提供することで、保守業務の効率化を支援する。
 展示のデモでは、保守業務向けM2Mシステムの例を見せた。機能の1つが、サービスエンジニアが使うスマートフォン用アプリケーション(写真1)。保守の現場で対象機器の過去の故障履歴、直前までの稼働状態などを確認できる。

 機器メーカーやエンドユーザー向けのアプリケーションでは、PCの画面から日々の稼働状況が確認できる(写真2)。稼働時間の累計値などから部品の交換のタイミングをつかんだり、グラフの変化から故障の予兆を読み解いたりするのに役立つ。

 富士通の説明員によれば、「コストや機能の面からM2Mの実現を諦めていた、という企業からの引き合いが増えている」。今後の方向性としては、ビッグデータやビジネスインテリジェンスの技術と組み合わせるソリューションが考えられるという。「収集した機器の稼働データを総合的に分析し、故障の予兆を自動検出できるようにしたい、というニーズが寄せられている」(説明員)。