写真1●iPhone 4Sの発表会でスティーブ・ジョブズ氏との思い出を語る孫正義社長
写真1●iPhone 4Sの発表会でスティーブ・ジョブズ氏との思い出を語る孫正義社長
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 2011年10月7日、KDDIに引き続き、ソフトバンクモバイルからも正式に「iPhone 4S」の発売が発表された(関連記事)。気になるのはその違いだろう。iPhone 4Sに関しては、10月7日16時予約開始、10月14日発売とKDDIとソフトバンクモバイルの足並みがそろい、孫正義代表取締役社長も「競争というよりは、(KDDIは)同じ情報革命の志を共有する。スティーブ(ジョブズ氏)の想いを一緒に届けられるのは素晴らしいこと」とコメント(写真1)。今のところ表立って対抗意識をあらわにはしてはおらず、強く違いを訴える見せ方はしていない。

 ただ、やはり互いに競合となる事業者同士。同日電気通信事業者協会が発表した2011年9月末の携帯電話契約の純増数(新規契約数から解約数を引いた契約数)を見ても、両者は競争を意識せざるを得ない状況に置かれている。ソフトバンクモバイルは純増数が27万5700でトップ。次いでNTTドコモが20万800、KDDIは3位で前月よりも順位を上げたものの、純増数は12万5300と上位2社を大きく下回る。

 全体の契約数で見ればKDDIは3365万8600で、ソフトバンクモバイルの2689万8400を大きく上回っている。だがKDDIの危機意識は相当に高い。純増数は携帯電話事業者の“勢い”を表す数字である。その純増数でソフトバンクモバイルは18カ月連続で首位を維持しているのだ。その純増を支えているのがiPhoneである。

写真2●9月26日にKDDIが発表したホワイトプラン対抗となる料金プラン「プランZシンプル」
写真2●9月26日にKDDIが発表したホワイトプラン対抗となる料金プラン「プランZシンプル」
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 そんなタイミングで登場したのがiPhone 4Sである。ソフトバンクモバイルだけでなく、KDDIも扱うことになったiPhone 4Sの今後の売れ行きには否が応でも注目が集まる。販売の現場では当然のごとく「競争の激化と受け取っている」(代理店関係者)。今は事業者同士は一見平静を保っているように見えるが、競争の下地作りは着々と進んでいる。

 KDDIは、9月26日に開催したAndroid搭載スマートフォンなどの2011年秋冬新製品発表会(関連記事)で、新料金プラン「プランZシンプル」を発表(写真2)。これは月額980円でau携帯電話間の通話および「Cメール」(SMS)が無料になるプランである。発表時には表だってソフトバンクモバイルのホワイトプラン対抗とは述べていないものの、来るべきiPhone 4Sでの競争を意識したものと言える(関連記事)。

 ソフトバンクモバイルも当然のごとくKDDIを強く意識している。実は同じiPhone 4Sとは言っても、違いがある(表1)。端末価格(実質負担金)やパケット定額料金に違いがあるほか、携帯電話事業者が採用している通信方式による使い勝手にも違いがある。

表1●ソフトバンクモバイルおよびKDDIで販売される「iPhone 4S」のスペックや料金
表1●ソフトバンクモバイルおよびKDDIで販売される「iPhone 4S」のスペックや料金
参考として販売中のiPhone 4の例も記した。