2011年10月5日に死去した米アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズ会長に向けて、米産業界のトップから続々と追悼の声が寄せられている。

 まずアップルと同じく米シリコンバレーに本社を置くグーグルの共同創業者、ラリー・ペイジ氏は「スティーブについてのニュースを聞いて、とてもとても悲しい。彼は信じられないほどの達成と驚くべき聡明さを備えた偉大な人物だ。彼は考える前に、考えるべきことを少ない言葉で表現できているように思えました。彼はいつも何よりも顧客の体験について焦点を定めて、私を鼓舞させた。彼はあまりよい状態ではないにもかかわらず、親切にも私がCEO(最高経営責任者)になった時に知識と助言を与えてくれた。私とグーグルは彼の家族とアップルファミリーとともにあります」とするコメントを出した。

 同じくシリコンバレーで米イーベイのトップを経て、この9月に米ヒューレット・パッカード(HP)のCEOに就いたメグ・ウイットマン氏は「スティーブ・ジョブズ氏はシリコンバレーを超えて先端技術にインパクトを与えた聖像といえる起業家であり、ビジネスマンだった。彼は彼がもたらしたイノベーションと世界に与えた創造的刺激で記憶されるだろう」とする。

 さらに米ヤフーの共同創業者であるジェリー・ヤン氏は「スティーブは成長する私のヒーローだった。彼は個人的な助言や励ましを私に与えただけではなく、生き様を変えるイノベーションを私たちに示した。私も世界も彼を心から恋しがっている」という。

 ジョブズ氏は映画関連会社を経営した経験もあり、娯楽業界にも強い影響力を持つ。その大手である米ウォルト・ディズニーのロバート・アイガー社長兼CEOは「スティーブ・ジョブズ氏は偉大な友人であり、信頼できる助言者だった。彼の遺産は彼が創造した製品や築いた産業を遥かに超えるものだ。彼が何百万人を鼓舞し、生活を変えて、文化を定めた。スティーブはまさに“オリジナル(原型)”で、時代を築いた創造的で想像力に富むマインドを備える。彼ほどの達成を考えても、まだスタート段階とすら思える。世界はまれなオリジナルをなくし、ディズニーは家族の一員を失い、私は大切な友人をなくした。私たちはこのつらい時期に彼の妻、ローリーンと子供たちのことを祈っている」と声明を出した。

 ジョブズ氏と同じく一度CEOを退いて復帰した経験を持つ経営者であるスターバックスのハワード・シュルツCEOは「米国にとり、とても悲しい日。ほかにはない素晴らしいイノベーションと起業家精神を備えた人物はずっと惜しまれるだろう」とのコメントを出した。

 米国を代表する富豪であり最強株式投資家であるウォーレン・バフェット氏は、「米国の産業史において特筆すべき経営者でありイノベーターの一人。私はハイテクに詳しくないが、彼ほど消費者にインパクトを与えられる人物はそうはいないことは知っている。今日はとても悲しい日。スティーブ・ジョブズ氏は誰もが忘れない存在として世界に記録されるだろう」と米CNBCテレビに語った。

 バフェット氏のように普段は余り表に出ない米財界人も含めて世代と業界を超えて続々と哀悼の声を寄せるところに、ジョブズ氏の存在の大きさが映し出されている。