米Appleが米国時間2011年10月4日に開催したiPhone新型モデルの発表会「Let's talk iPhone」(関連記事)は、投資家やテクノロジー系ブロガーを失望させたようだと米欧のメディアが伝えている。新モデルの名称はかねてうわさされていた「iPhone 5」ではなく「iPhone 4S」だった。これがマイナーチェンジを印象づけるものだったことから同日のApple株は一時3%下落したなどと報じている。

 iPhone 4Sは、タブレット端末「iPad 2」に採用されている「A5」デュアルコアプロセッサを搭載し、処理速度が2倍高速化したほか、グラフィックス性能も7倍向上。カメラの解像度も800万画素に強化し、音声認識機能も搭載する。またCDMAとGSMの両通信方式に対応しており、ワールドワイド製品マーケティング担当上級バイスプレジデントのPhil Shiller氏は「ワールドフォンだ」と説明したが、英Financial Timesは、「Appleの新iPhoneには、より画期的な改良があるものと期待されており、投資家を失望させた」と報じている。

 米Wall Street Journalは今回の発表会は初めてづくしだったと伝えている。iPhoneの発表イベントは6、7月に開催されるのが恒例だったが今回は10月にずれ込んだ。またSteve Jobs氏の後任として、Tim Cook氏が最高経営責任者(CEO)として初めて登壇した。そして今は米Googleの「Android」搭載端末との市場競争がかつてないほど激化している。そうした中、前モデルの発売から16カ月待たされ、大幅な改良があると信じていた投資家の期待は予想以上に高まっていたという。

 一方で米Forbesは、Appleに好意的な専門家の意見を伝えている。Apple製品の市場動向に詳しいPiper JaffrayのアナリストGene Munster氏は通信キャリアが増えたことを高く評価している。米国では、米AT&Tと米Verizon Wirelessに加え、新たに米Sprint NextelもiPhone 4Sを取り扱う。日本では、ソフトバンクモバイルに加え、KDDI(au)も販売する。「大幅な改良がなかったことから投資家は失望しているようだが、iPhone 4Sは予想出荷台数を達成する、あるいは上回る。発売日の10月14日には長い行列ができるだろう」と同氏は述べている。