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 エンジニア教育やロボコン事務局などを手がけるアフレルが、幕張メッセで開会中の「CEATEC JAPAN 2011」で、親子を対象にしたロボコン教室を開催する。日本企業の競争力を高めるには、ソフト開発に象徴される論理的思考をもつ人材の育成が不可欠なことと、技術者が自らの経験・ノウハウを社会に還元することがIT関連企業のCSR(企業の社会的責任)につながるとの判断だ。

 ロボコン教室は、10月8日に3回、開催する。アフレルが事務局を努める小中高生を対象にしたロボコン「WRO(World Robot Olympiad)」で使用するレゴ製のプログラミング型ロボット「Mindstorm」を親子で組み立て、プログラミングによって実際に動かすまでを体験してもらう。

 WROは、2~3人の子供と大人1人がチームを組み、Mindstormをプログラミングして与えられた課題をクリアする形式のアジア・中東地域主体のロボコン。9月18日に第8回目の国内決勝大会を終えており、上位入賞者は11月19日からアラブ首長国連邦のアブダビで開かれる国際大会に挑戦する。

 今回、ロボコン教室の対象を親子にしたのは、子供にソフト開発を含めたモノづくりの体験機会を提供すると同時に、エンジニアなど成人が、プログラミングの方法やノウハウを伝えていくことがCSRにつながることを具体例として示したいためだ。

 ロボコン教室に先立つ6日午前には、「CSRとして小中高校生に開発体験機会を提供 ~WROの取り組みから考える国際競争力~」と題したセッションも開く。同セッションでは、組み込み開発やソフト開発などに取り組み企業が、論理的な思考の方法などを伝えることが、ソフト化が進むモノづくりの強化につながることを強調。ハード主体になりがちな各種支援策の見なしなども訴える。

 実際、スマートシティやスマートグリッドなど、新たな市場として立ち上がってきた社会インフラ系のシステムでは、組み込み開発や、M2M(マシン・ツー・マシン)を実現するためのネットワーク、大量データの取り扱いなど、ハード単体にとどまらない全体構成力やIT関連スキルが求められる。

セッションに立つアフレル事業企画室の渡辺 登 室長は、「製造業の強みを維持するには、将来を担う子供たちにモノづくりの興味を醸成することが求められる。特に今後は、ITを組み込む能力が必要不可欠になるだけに、ソフト開発を含めたモノづくりの体験が重要になってくる。社会貢献策の一つに植樹があるが、IT系企業であれば、未来の技術者育成に向けた種まきや水やりに取り組んでほしい」と話す。