都心の高層ビル屋上からヘリコプターを飛ばす人員輸送サービスを提供している森ビルシティエアサービスが、震災発生直後にヘリで人員を緊急輸送できる優先利用権を口数限定で発売する。申し込みの受け付けは2011年10月13日からで、サービス提供は2012年1月1日からを予定している。

 サービスの名称は「震災対策フライトプラン」。料金は年間契約ベースとなり、2通りある。年間900万円となる「プランA」では、震災当日~3日目に最大160分、4~7日目に最大80分利用できる。また、震災フライトだけでなく通常のフライト利用権も料金に含まれており、震災が発生しなくても年間800分まで利用可能。年間600万円となる「プランB」では震災当日~3日目は利用権が無く、4~7日目に最大240分利用でき、震災が発生しなくてもやはり年間800分まで利用できる。いずれも使用機はユーロコプター社の「EC135」で、1回の輸送で5席分まで人が乗れて、カーゴスペースにはLサイズのスーツケースを4個積めるという。

 今回のサービスは、12口限定の発売となる(1法人で複数口の契約も可能)。都心の発着場所は、東京都港区赤坂のアークヒルズとなり、地方の輸送先ヘリポートは事前相談。時速は標準で200km前後、フライト距離は輸送重量によっても変わるが、目安としては都心から約280km離れた名古屋まで無給油で可能という。

 「震災発生」の定義については「関東地方で震度6以上」または「政府が緊急事態宣言を発令したとき」としている。ただしヘリを普段格納している浦安基地の損壊状況や、飛行士や整備士の負傷、悪天候といった事情でヘリを飛ばせない可能性もある。その場合はプランAの場合で最大400万円を返金する。

 また、平時の利用権も含めて枠を使いきらなかった場合は、翌年も継続する契約者に限って未使用分が買い戻される。買い取り算定額はプランAで1分当たり3000円、プランBで1分当たり2000円。例えばプランAの契約者が、1年間まったく使わなかった場合は、800分に相当する240万円が戻る勘定となる。

 同社では「首都直下型地震発生時に地方のバックアップ拠点に経営幹部を輸送」「上空から被災拠点を確認」「必要な物資を輸送する」といった用途でBCP(事業継続計画)に組み込まれるニーズがあると見ている。既に、外資系金融機関から引き合いがあるという。