写真●危機意識を強めるイー・アクセスは公開討論会を開催し、世論の喚起を図る。
写真●危機意識を強めるイー・アクセスは公開討論会を開催し、世論の喚起を図る。
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 “プラチナバンド”や“黄金周波数帯”とも言われる700M/900MHz帯。伝搬性の良さから携帯電話事業者各社がのどから手が出るほどほしい帯域だ。その割り当てが混迷必至の情勢となってきた。おそらく3枠になると見られる700M/900MHz帯に、携帯4社の希望が殺到しているからだ(関連記事)。

 中でも2012年7月から先行利用できる900MHz帯の割り当ては15MHz幅×2の1枠になると見られ、ソフトバンクモバイルとイー・アクセスによる真っ向勝負となる公算が高くなっている。総務省は早ければ10月中旬にも参入枠を定めた免許方針案(開設指針案)を公表し、パブコメなどを経て、年内にも免許方針を固めると見られる。

 こうした状勢に対して、危機意識を強めているのが大手3社を追う立場のイー・アクセスだ。9月中旬に報道陣を対象とした同社の周波数獲得に向けた説明会を開催。さらに10月3日には有識者を招いた公開討論会も開いた(写真関連記事)。「ユーザー利便向上には新規事業者による競争促進が必要」(イー・アクセスの千本倖生会長)と大手3社による寡占を食い止めようとやっきだ。

 イー・アクセスは総務省に対して、900MHz帯の割り当ては透明性と公平性を確保したスキームとするように要望書を提出するといった焦りも見せる(関連記事)。複数申請があった場合の比較審査基準として、LTEの人口カバー率やMVNOユーザーの比率などを挙げ、公平性を確保すべきとしている。

 本誌のインタビューに答えたイー・アクセスの大橋功企画本部企画部長は、「これまでのような“美人コンテスト”ではない、透明性が高く公平な審査基準を策定してほしい」と総務省への要望を語る。仮に透明性に問題があるような開設指針案が出てきた場合は、「さらなるアクションを取る可能性がある」(同)といった含みも残す。

 700M/900MHz帯の割り当ては携帯各社の今後を大きく左右する。落選する事業者が出た場合、その事業者への影響は計り知れない。公平性を欠くような選定を進めると将来に禍根を残しかねない。