米Adobe Systemsは米国時間2011年10月3日、カンファレンスAdobe MAXを開催した。基調講演では最高技術責任者のケビン・リンチ氏が登壇(写真1)。これまでパッケージアプリケーション中心だった同社の戦略を「クラウドサービスを中心としたサブスクリプションモデルを加えた形に変更する」と発表した。
この構想の前提となる新しいサービスは三つある。同社が提供しているデータホスティングサービス「Adobe Business Catalyst」、「フォント」、「Digital Publishing」である。まず「データの保存領域を同社が提供する用意は整っている」と強調し、さらに正確にデザインを再現するために不可欠なWeb経由によるフォントのホスティングサービスを展開すると説明した。Adobeはフォントサービスベンダーとして3年前から事業展開しており、すでに25万人のユーザーを持つTypeKitを買収。WebFontsの配信としてだけでなく、クラウドサービスにも組み込まれる予定だ。
また、これまで出版社向けに提供されていたiPad向け電子出版ソリューションのDigital Publishing SuiteにSingle Editionを加えると発表した。1アプリケーションあたり395ドルで、Apple App Storeを通じた配布および販売ができる。このソリューションでこれまで扱うことが難しかった個人のポートフォリオや、小ロットのパンフレットのようなコンテンツも電子出版物として流通させやすくなるという。