VDIアプライアンス スタートアップキットで採用しているCitrix VDI-in-a-boxの画面例(写真は、旧製品であるKaviza VDI-in-a-boxの画面)
VDIアプライアンス スタートアップキットで採用しているCitrix VDI-in-a-boxの画面例(写真は、旧製品であるKaviza VDI-in-a-boxの画面)
[画像のクリックで拡大表示]

 日商エレクトロニクスは2011年10月3日、中小企業向けに、仮想デスクトップ環境(VDI)に必要なシステム一式をパッケージ化した製品「VDIアプライアンス スタートアップキット」を販売開始した。システム構成の簡素化によって導入と運用を容易にしているほか、独自のグリッド技術で可用性と拡張性を高めている。価格は、50人向けが650万円(税別)、100人向けが980万円(同)。

 キットは、米Citrix Systemsの中小企業向け簡易VDIパッケージ「Citrix VDI-in-a-box」と、同パッケージを動作させるためのPCサーバー機、およびユーザー作成データを保存するための外付けファイルサーバーで構成。Citrix VDI-in-a-boxはもともと、導入が容易な仮想アプライアンス型の製品である。今回、これを動作させるハードウエアと組み合わせ、さらに導入を容易とした。

 製品の中核となるCitrix VDI-in-a-boxは、仮想アプライアンスとして実装したデスクトップ仮想化製品。社員のデスクトップPC(Windowsを動作させた仮想デスクトップ機)を、シンクライアント(画面情報端末)を介して利用できるようにする。特徴は、(1)必要な機能のすべてを1台のPCサーバー上で提供できるようにシステム構成を簡略化していることと、(2)独自のグリッド技術によって可用性と拡張性を高めていることである。

システム構成を簡素化した、クラスタリング構成で動作するVDI製品

 (1)については、具体的には、個々の社員とデスクトップPCを1対1にヒモ付けて管理するコネクションブローカー機能、アクセス要求に応じて仮想デスクトップPCを配備するプロビジョニングサーバー機能、アクセス負荷を複数サーバー機に振り分けるロードバランサー機能---を1台のPCサーバー上で提供する。さらに、仮想デスクトップPCのイメージデータも、Citrix VDI-in-a-boxサーバー機の内蔵ディスク上に保存して管理する。サーバー仮想化ソフトとして、Citrix XenServerやVMware ESXを利用できる。

 (2)については、複数台のCitrix VDI-in-a-boxサーバー機をクラスタリング構成で利用できるようにした。すべてのサーバーが同じデータ(VDIソフトや社員の仮想デスクトップイメージ)を持っている状態で運用する。クラスタを構成するサーバーがシステム停止しても、残っているサーバーで業務を継続できる。また、サーバーを追加することで、1台あたりの負荷を軽減ことが可能。なお、可用性を確保するため、ユーザーが作成した文書ファイルなどのデータは、外部のファイルサーバーに保存する運用が望ましい。

社員50人用と社員100人用の2パッケージを用意

 キットには、PCサーバー機として日本ヒューレット・パッカードの「HP ProLiant DL380」が2台(50人向け)または3台(100人向け)、外付けファイルサーバーとして「HP Network Storage System X1600」が1台含まれる。50人向けも100人向けも、1人あたりのスペックは共通(メモリー容量は2Gバイト、Windows用ディスク領域は25Gバイト、ユーザーデータ用ディスク領域は20Gバイト)。VDI環境用のデスクトップOSライセンス「Microsoft VDA」は別途必要。

 なお、Citrix VDI-in-a-boxはもともと、Citrix Systemsが2011年5月に買収した米Kavizaの製品である(旧称はKaviza VDI-in-a-box)。日商エレクトロニクスは、2010年11月からKaviza VDI-in-a-boxを販売してきていた。VDI製品としては、Citrix VDI-in-a-boxのほかにCitrix XenDesktopがあるが、両製品には関係がない。ただし、画面情報端末プロトコルは、両製品ともCitrix ICAとICA拡張のCitrix HDXを利用する。