TISは2011年9月28日、固定資産関連の会計処理についての支援サービスコンサルティングやシステム構築を提供する「IFRS固定資産管理ソリューション」を発表した。「固定資産管理はIFRS(国際会計基準)対応の中でも、最も大きなインパクトがあると言われている。ところが、IFRSに基づいた固定資産管理のノウハウが対応企業には不足している」とTISはサービス提供の理由を説明する。10月1日に提供を始める。

 IFRS固定資産管理ソリューションは、二つのメニューで構成する。一つがコンサルティングサービス、もう一つがシステム構築サービスである。

 コンサルティングサービスは、償却方法やコンポーネントアプローチといったIFRSの中で固定資産に関連する項目について、影響の調査から会計方針の検討、システム構築方針の明確化までの作業を支援する。ツールを利用することで、影響分析からシステム化要件の決定までを最短2カ月で実施できるという。ツールは監査法人の監修を受けて開発したもので、インタビューシートや計算式モデルなどで構成する。

 システム構築支援サービスは、国内の税務要件とIFRSが求める要件の両方に対応した固定資産管理システムの構築を支援する。日本オラクルのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「Oracle E-Business Suite(EBS)」の固定資産管理機能を基に、TISが開発したIFRS対応テンプレートを利用する。

 テンプレートは、IFRSに基づいた減価償却や資産除去債務、減損の管理機能と、総勘定元帳への仕訳機能などを持つ。Oracle EBSの財務会計モジュール「Fin」のライセンスを持っている企業であれば、新規ライセンスを追加する必要はない。固定資産管理のほか今後、リース管理などの提供も予定している。テンプレートはすでに大量の資産を保有している企業での導入実績があるという。

 TISは「日本でIFRSの適用時期が不透明な状況にあるが、固定資産に関連するIFRSの規定は現状、改定の予定はない」として、固定資産管理について「早期に準備しておくことが非常に有益である」と説明している。IFRSが適用になった場合、固定資産管理関連の基準は現行の日本の会計基準(日本基準)に比べて変更が多い。減価償却が日本基準では法定耐用年数であるのに対し、IFRSでは利用の実態に合わせて耐用年数を決めることが求められている。このほか、一つひとつの固定資産を分解して、個別に耐用年数を決めるコンポーネントアプローチが求められる。コンポーネントアプローチは現行の日本基準にはない考え方だ。

 価格は、コンサルティングサービスが2カ月程度の場合300万円から、システム構築サービスが構築期間4カ月で2000万円から。コンサルティングサービスは保有する資産の種類や対象の業務、社数によって変動する。システム構築サービスにはソフトウエアのライセンスやハードウエア関連の費用は含まない。TISは17年までに50件のサービス提供を目指す。