デジタルテレビ向けの動画配信サービス「TSUTAYA TV」を手がけるTSUTAYA TVは、2011年9月30日に同サービスをAndroid OSを搭載したスマートフォンやタブレット端末向けにも対応させる。サービスの利用には専用のプレーヤーアプリが必要で、提携メーカーの対応製品に順次プリインストールして提供する。TSUTAYA TVアプリ搭載製品の第一弾は、NTTドコモの「ARROWSTab LTE F-01D」(富士通製、10月発売予定)となる。サービス開始時の提供コンテンツ数は6000エピソード以上となる見込みだ。

 モバイル端末向けのサービスは、デジタルテレビ向けと同様に1作品ごとに視聴料金を支払うレンタル型のTransaction VOD(T-VOD)になる。現在モバイル端末向けに提供されている動画配信サービスの多くはストリーミング方式だが、TSUTAYA TVはダウンロード方式で提供する。通信回線が不安定でもダウンロード済みのデータ部分はスムーズに再生できることから、「地下鉄など通信回線が不安定な場所でも、動画視聴を快適に楽しめる」(TSUTAYA TV)という。

 専用のプレーヤーアプリは、DVDパッケージを棚に並べたようなグラフィカルなインタフェースを採用している。直感的に操作できることを重視して作っており、軽快に動作するという。またプログレッシブ再生に対応しているので、動画全データのダウンロード完了を待たずに、ダウンロード済みの部分から逐次再生できる。モバイル端末向けサービスの動画は480pのSDTVとなる。

<無線通信環境の整備を待ってサービス提供>
 このタイミングでモバイル端末向けのサービスを開始する理由として、無線通信環境が整ってきたことと、Android OSにおける開発の方向性が定まってきたことの2点があるという。TSUTAYA TVは「日本はFTTHの環境整備では進んでいるが、公衆無線LANを含む高速の無線通信環境の整備は遅れていた。いつでもどこでも高画質の動画を楽しめる環境が整うタイミングを見極めて、このタイミングでサービス提供することにした」と説明する。Android OSについては、当初の頻繁なバージョンアップが落ち着いてから、サービス提供を行う方針で準備を進めていた。権利者側とは1年前から交渉を行っており「(権利許諾が難しい)ダウンロード方式の動画配信サービスで、ハリウッド6大スタジオの作品を揃えているのは珍しい」と説明する。なお、パソコン向けとiOS向けのサービス提供については、現時点では予定していない。

 当面アプリケーションは提携メーカーの製品にプリインストールする形で提供する。これは、Androidマーケットなどで提供すると多くのソフトに埋もれてしまい、目立たないからだという。「複数メーカーとアプリのプリインストールについて交渉している。モバイル端末は家電製品で動画配信を利用する際の難関である『端末のネット接続』を最初からクリアーしている。販売数ではテレビより少なくても、利用者数ではテレビ向けサービスにすぐに追いつく可能性がある点が魅力」と説明する。

 TSUTAYA TVでは今後、モバイル端末で見ている作品の続きをテレビで視聴するなど複数端末間でのサービスの利用連携機能や、モバイル端末向けのダウンロード動画販売の提供についても検討を進めている。なお、テレビ向けの「TSUTAYA TV」の登録者数は2011年8月末で20万件を超え、そのうちの65%がTポイントプログラムにも参加している。