写真1●日本マイクロソフトの樋口泰行社長
写真1●日本マイクロソフトの樋口泰行社長
[画像のクリックで拡大表示]

 日本マイクロソフトは2011年9月28日、同社の製品やサービスを紹介する企業向けイベント「The Microsoft Conference 2011」を開催した。基調講演に立った樋口泰行社長は、「先行きが不透明な経済情勢の下、日本企業には大きく変身することが求められている。当社はIT活用による企業変革を支援する」と述べた(写真1)。

 樋口社長は基調講演の中で、スマートフォン、パブリッククラウド、プライベートクラウドの三つに分けて、同社の製品やサービスを紹介した。スマートフォンについては、8月にKDDIから発売された「Windows Phone 7.5」搭載機を取り上げた。「企業向けのIT製品やサービスにも、消費者向けITを使う『コンシューマラインゼーション』の波が来ており、個人による私物スマートフォンの企業利用をいつまでも禁止できる風潮ではなくなった。当社は製品だけでなく、開発環境も運用管理機能もトータルで提供することで、ユーザー企業の既存資産を容易に継承できるようにする」(樋口社長)。

写真2●Windows Phone 7.5搭載スマートフォンの全社導入を決めたカブドットコム証券
写真2●Windows Phone 7.5搭載スマートフォンの全社導入を決めたカブドットコム証券
[画像のクリックで拡大表示]

 基調講演では、ネット証券大手のカブドットコム証券が、2011年12月にWindows Phone 7.5搭載スマートフォンを全社導入することが発表された(写真2)。カブドットコム証券は「Office」文書の参照が容易にできることや、既存のWindows向け開発技術をスマートフォン向けアプリケーション開発に応用しやすいこと、セキュリティ関連機能などを評価して、全社導入を決めたという。同社は、顧客がWindows Phone 7.5搭載スマートフォンから株価情報を参照できるアプリケーションも、併せて提供する予定だ。

 パブリッククラウドについては、グループウエア系サービス「Office 365」と、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の「Windows Azure」を紹介した。「東日本大震災の後、サーバーソフトの売れ行きを調査した。震災より前はユーザー企業に主に売れていたが、震災後はデータセンター事業者へと売れ行きがシフトしている傾向が見て取れた。BCP(事業継続計画)用途に加えて、クラウドの経済性やコスト低減効果を、ユーザー企業が評価していることの表れではないか」(樋口社長)。

 導入事例としては、Windows Azureで映画の前売り券購入サイトを構築したムビチケ、Azureを基に開発し8月に提供を開始した富士通のPaaS「FGCP/A5」、そしてトヨタ自動車が来年初めに提供を開始するAzureベースのテレマティクスサービスなどを紹介した。

 プライベートクラウドに関して、同社が重点を置いたのが運用管理機能である。来年前半にも出荷を開始する運用管理ツールの新版「System Center 2012」について、「ランブックオートメーション(RBA)」と呼ぶ機能を紹介した。

写真3●System Center 2012におけるランブックオートメーション機能の画面
写真3●System Center 2012におけるランブックオートメーション機能の画面
[画像のクリックで拡大表示]

 RBAとは、仮想化したコンピュータ資源の割り当てや仮想マシンの終了といった運用管理作業を、自動実行するための機能である。System Center 2012では、自動実行する処理のワークフローを、GUI画面上で定義できる(写真3)。「ビジュアルな形でワークフローを定義し、日常的に発生する作業を自動化してIT管理者の負担を軽減できる」(梅田成二サーバープラットフォームビジネス本部業務執行役員 本部長)。