ACCESSの米国子会社であるIP Infusionは2011年9月27日、ルーターやスイッチなどの通信機器向けOSの最新版「ZebOS 7.9」を発表した。通信機器メーカーなどにOEM供給する。ZebOS 7.9では、データセンターや携帯端末用の基幹伝送網、通信事業者が運営するキャリアイーサネット向けの機能を強化した。

 データセンター向けの機能に関しては、ファイバチャネル(FC)とFCoE(FC over Ethernet)とをブリッジする機能を搭載することで、FCからFCoEへの移行を容易にしたという。また、データセンター内でネットワーク経路を冗長化したうえで、ネットワーク負荷などに合わせて経路を最適化する「TRILL(Transparent Interconnect of Lots of Links)」にも対応した。

 携帯端末用の基幹伝送網向けの機能に関しては、基幹網にイーサネットを使えるようにする「MBH IA(Mobile Backhaul Implementation Agreement)」に準拠した。これまで基幹網で使われてきた「RAN(Radio Access Network)」をイーサネットに置き換えることで、より安価に基幹網を構築・増強できるようになるとしている。

 キャリアイーサネット向けの機能に関しては、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)の信頼性を強化した「MPLS-TP」に対応している。

ZebOSの将来バージョンでOpenFlowにも対応

 IP Infusionの楢崎浩一CEO(最高経営責任者)は27日の記者会見で、「ZebOSの将来バージョンで、ネットワークの新規格である『OpenFlow』にも対応する」と明言した。まずはその準備としてZebOS 7.9では、通信機器の頭脳にあたる「コントロールプレーン」を、通信機器から分離できるアーキテクチャにも対応できるようにしたとしている。

 OpenFlowでは、ネットワーク経路などを制御する部分をコントロールプレーンとして、スイッチ(データプレーン)から分離するというアーキテクチャを採用している。両者の分離によって、コントロールプレーンをPCサーバーで稼働することが可能になると共に、スイッチにコントロール用の高価なプロセッサを搭載する必要がなくなり、通信機器の低価格化などが図れる。また通信機器の様々な機能や、ネットワークそのものをソフトウエアで制御することが容易になり、柔軟なネットワーク構成が実現できる。

 楢崎CEOは、「OpenFlowなど、ソフトウエアによってネットワークを制御する手法が台頭することで、これまでのハードウエア主体のネットワーク構築から、ソフトウエアを基盤にしたネットワーク構築に急速に移行する」と述べ、ZebOSのOpenFlow対応を進めていく意向を示した。